痛い政治ニュース

2010年 痛い政治ニュース 速報版

2007年09月

安倍首相辞任効果のテロ特措法(12)


防衛省説明会【写真】初回のセミナーで市民を前に洋上補給の実際を説明する海自幹部(右)(9月14日、さいたま新都心合同庁舎で)

「あらゆる方法で賛同を得られる努力をする」その現実

先ず防衛省は率先して市民対象に防衛セミナーを開催。海上給油は、テロを阻止する国際協力の重要な活動であることを全国7都市の地方防衛局主催で「テロに立ち向かう自衛隊」と題して開催している。



【9月30日政治ニュース=防衛省】 20日朝雲ニュースは、「さいたま新都心合同庁舎」で初回に行われた防衛セミナーの模様を伝えている。



『「酷暑と砂塵下の活動」埼玉で海自幹部ら講演= 9月14日、さいたま新都心合同庁舎1号館で開かれた北関東防衛局主催の防衛セミナーでは、防衛省の鈴木敦夫・防衛政策局調査課長、徳地秀士・北関東防衛局長、佐藤寿紀・海幕総務課総務調整官、外務省の安藤俊英・総合外交政策局安全保障政策課企画官がそれぞれ講演、北関東防衛局の広報誌やホームページを見て応募した市民や大学生、自治体関係者ら約430人が聴講した。
講演に先立って秋元司政務官があいさつ、「インド洋上で自衛隊は、国際社会の一員として、世界平和のために貢献している。テロはいつどこで起こるか分からない。テロを防ぐため、日本にも協力が求められている」と述べた。
徳地北関東防衛局長も「各国の艦艇による哨戒がテロリストの武器入手や資金源となる麻薬の輸送を止めさせる抑止力になっている」と活動の成果を強調した。
インド洋での補給活動に1護隊司令として従事した佐藤1海佐は、現地での体験を報告。「砂塵のためフィルターが3日で真っ赤になったり、甲板の温度が80度近くにもなる中で、派遣隊員は支援活動を続けている」などと、過酷な環境下で洋上補給に従事する隊員の実情を語った。』(20日朝雲ニュース)



同セミナーは9月19日に広島市と佐世保市、20日に仙台市と横浜市、21日には札幌市と大阪市で既に行われている。(続く)

安倍首相辞任効果のテロ特措法(11)


支持率を回復しつつある「テロ特措法」

122文字の「テロ特措法」を「給油と水」に限定することで国民に理解され始めたのか、「仕方ない日米同盟」が頭を上げてきた。
9月20日【政治ニュース】で、『9月16日フジテレビ「報道2001」の番組にゲスト出演した麻生元官房長官が「テロ特措法」について、「一月もすれば国民のみなさんにもっと理解してもらえる」と発言していた。また、それ以前からあらゆる方法で賛同を得られる努力をするとも述べていた。』と伝えた。



9日、アジア太平洋経済協力会議に出席していた安倍首相の、シドニーでの記者会見からほぼ一月近くが経過する。奇しくも、麻生元官房長官の発言が、的中しそうな雰囲気を感じさせる世論態勢が形成されつつある。そしてやはり発言どおり、「あらゆる方法で賛同を得られる努力をする」ことが実施されている。



【9月29日政治ニュース】 27日産経新聞は、米国と有志連合国の駐日大使が「テロ特措法」継続の要請会議をもち「謝意」を盛り込んだ声明を出したと伝えている。



『11カ国の駐日大使らテロ特措法延長で協議=インド洋での海上自衛隊の給油活動継続を求めるため、インド洋に部隊を派遣する米国など計11カ国の駐日大使らが27日、東京都渋谷区松濤のパキスタン大使公邸で日本側を説得するための対応策を協議した。国際社会の一体感をアピールすることで、海自の活動継続を促すほか、これまでの給油活動に謝意を示す共同声明を発表した。
 協議に参加したのは、米、英、独、仏、豪、伊、加、ギリシャ、ニュージーランド、パキスタン、アフガニスタンの大使ら。
声明は、「日本は不朽の自由作戦の成功を左右する給油活動において、素晴らしい不可欠な貢献をしており、アフガニスタンの平和や安定、繁栄を推進する国際社会の努力に貢献している」と強調。さらに、最近採択された国連安保理決議1776に触れたうえで、「同盟諸国は日本の支援を理解、深く感謝し、この重要な貢献の継続を願う」としている。』(27日産経新聞)



国連安保理決議1776」は、日本が「謝意」の文言を書き込むことを要求した決議文で、反発したロシアの棄権で初めて全員一致でない採択となった。そして、日本は各国から、自国の内輪事情を国連の場に持ち込むのは如何なものかとひんしゅくを買った。しかし、米国の強烈な後押しがあり、辛うじて、それも前文に外交辞令程度の文言を付け加えられたいわく付の決議のことだ。(続く)



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安倍首相辞任効果のテロ特措法(10)


シーレーン防衛国益論とは3
実は「テロ特措法」は南シナ海のシーレーンを守っていたのだ


9月5日産経新聞は、東京特派員湯浅博氏のタイトル「テロ特措法がシーレーン守る」を掲載している。内容は、湯浅氏の中国脅威論、南シナ海抑止論の展開である。



『中国にとって海洋は、エネルギー資源の所得であると同時に、中台統一にからむ米軍事力への対応にある。そのためのシーレーン防衛は中国海軍の最大の狙いであろう。
この危険海域で、日中の艦船が偶発的な戦闘に至る危険は否定できない。日中が緊迫した場合に、中東原油の動脈である南シナ海のわがシーレーンが妨害される可能性は極めて高い。
中国が南シナ海で日本のタンカーの航行を妨害すれば、インド洋で中国船を多国籍軍が捕捉できる。その警戒感が中国の行動を抑止する。海自がアラビア海で多国籍軍に組み込まれることは、日本のシーレーン防衛になるとの果実があるのだ。』(9月5日産経新聞)



近年、中国の軍事予算の増加には目を見張るものがある。特に、軍事力を外海に向けての配備が進められている。その拠点になるのが海南島で、ミサイル基地と軍港の建設が進行中だ。また、注目を集めているのが、2010年までに戦闘機約50機を搭載できる4万8000トン級中型空母2隻の建造が急ピッチで進められていることだ。というのもこの空母は東シナ海と南シナ海の両海域に配備され睨みを効かせることになっているからだ。



湯浅氏の中国脅威論は、いつ日中戦争が勃発してもおかしくないから常にその準備をしておく必要があるという、いつもお馴染みの「北朝鮮ミサイル発射説」と同じである。
産経新聞のこの手の論評には、外交戦術を無視した発想で紛争勃発を煽る、もしくは誘導しているものが多い。外交戦略こそ緊迫緩和の方法論であることを産経新聞の論説は全く考慮していない、と考える訳だが。しかし、思い起こせば、現在の「進化する日米同盟」は、中東から東アジアに至る地域を網羅する「不安定の孤」として変貌していることを私たちは忘れていた。
「不安定の孤」を念頭におけば、「テロ特措法」は米軍の後方支援を行うことになっているのだから、当然その範疇は、南シナ海のシーレーンも守るわけだ。



産経新聞は「進化する日米同盟」を正当に評価、解釈している。その立場からすればあながち的外れな主張ではない。私たちの方が新日米同盟の罪深さを理解していなかったことに尽きる。

安倍首相辞任効果のテロ特措法(9)


シーレーン防衛国益論とは2

高村防衛相の「中東からインド洋、マラッカ海峡を経て日本に至るシーレーンの安全は国益に直結する。」こと自体の説明は、間違ってはいないが、何も「テロ特措法」制定からタンカーの航海を変更して今日あるわけではない。このルートは中国も共有している以前からの航海ルートで、いまさら何を宣ふかだ。従って、政府の見解は、元々安全航海が約束されているのは、日米同盟に基づく抑止力が働いているからだと、米軍の抑止力効果を説明し始め、その効果とは、何も起こっていないこと事態がその効果であると講釈を披露する。特に防衛省幹部関係者はこのことを力説する。



しかし、「恒久法」推進者の森本敏氏(拓殖大海外事情研究所長)ですら中東全体の海上輸送抑止論を展開すると、『「イラク作戦もやっていた」という議論の土俵に乗ることになる』と指摘している。要するに、日米同盟の下に法の趣旨である米国の後方支援を主張するほうが国民の理解が得られるという意見だ。森本敏氏は、日米同盟のためなら、狂牛病米肉を食べると言い切った御仁である。
しかし、政府はそうは言わない。最近やおら米国の属国論が世論を騒がせつつある現状から、最優先に自主「国益論」を主張したがる。
それは、明治近代政府が先進国として生きながらえてきたかを彷彿とさせる悲しいまでの「国益論」になっている。というのは、中東が駄目なら、南シナ海はどうだというのだ。先進国に嘗められても、アジアの国、とりわけ中国に嘗められては近代日本の独立はないかのごとくいきり立つ。
「テロ特措法」は南シナ海のシーレーンを守ると主張し始めたのだ。(続く)

赤いモスクからジハード(27)


アフガニスタン政府 いよいよ前政権タリバンと交渉か

ブラウン防衛相【写真】ブラウン防衛相(時事通信)

【9月26日政治ニュース=英国】 25日AFP=時事通信は、英国のブラウン国防相(写真)は24日、アフガニスタン問題について、イスラム原理主義勢力のタリバンも参加させて、平和プロセスを図る必要があるとの主張を伝えた。

『ブラウン国防相は与党・労働党の大会で発言。「アフガニスタンにおいては、ある段階で、タリバンを和平プロセスに含める必要がある。なぜなら、パレスチナから(イスラム原理主義勢力の)ハマスがいなくなることがないのと同様に、タリバンが(アフガンから)いなくなることはないからだ」と語った。
 また、イラクやアフガンへの関与は数十年続き、中には数世代にわたるものもあるだろうと述べたが、同時に、こうした関与は必ずしも軍の役割ではないと指摘した。』(25日AFP=時事通信)

英国軍のアフガニスタンへの派兵は、現在7千人前後といわれている。年末にかけて増派が伝えられているが、死傷者の数も一説では戦死者百人以上といわれ増え続けている。

9月15日【政治ニュース】 「いよいよ前政権タリバンと交渉か」で伝えたように、アフガニスタン政府においても水面下で前政権タリバンとの交渉が模索されていることは、今回のブラウン国防相の発言で公式的なものになったと見て取れる。

背水の陣内閣で「テロ特措法」担当に就任した防衛御宅の石破茂氏は、就任記者会見で、「野党、広く国民の理解を得て、海上自衛隊の給油活動を継続できるよう全力を尽くしたい」と表明しているが、石破茂氏特有の無脊椎口調で説得をなめまわしても、「新法」の説得はアフガニスタンの世界情勢が大きく変わることを前提にして、全く次元の違った日本の関わりを模索しなければならない状況から意味を持たないことになるだろう。

安倍首相辞任効果のテロ特措法(8)


シーレーン防衛国益論とは1

【9月25日政治ニュース】 19日産経新聞は、最近頻繁に聞かされる「シーレーン防衛」について、高村正彦防衛相の発言を紹介している。



『「インド洋をテロリストの自由の海にさせてはいけない」「海自艦艇を引いて他国にそこを守ってもらい、日本だけがシーレーン(海上輸送路)を通ってぬくぬくしていて国際社会の理解が得られるのか」
高村正彦防衛相は9月3日の講演で海自のインド洋派遣の意義をこう強調した。原油の9割を中東に依存する日本にとって、中東からインド洋、マラッカ海峡を経て日本に至るシーレーンの安全は国益に直結する。』(9月19日産経新聞)



こういうのをにわか論議の「ああ言えばこう言う」の昔あった新興宗教の広報マンという。
そもそも、国連の承認だとうそぶいて、安保理「決議1368」を根拠立てて、そして、戦闘が行われていない地域や海域での米軍有志連合軍の後方支援が目的で「テロ特措法」を制定している。
決議は、「国際の平和と安全に対する脅威に対し、あらゆる手段を用いて戦う」ことをうたっている。



しかし、「テロ特措法」本来の主旨、目的は安保理「決議1368」とは関係のない、日米同盟による米国の要請から始まった法案作りだったことをここでもう一度きっちりと思い起こす必要がある。時間が経てば「ああ言えばこう言う」方式で中味がトンデモナイ腐乱状態に変質することは世の慣わしごとである。そこで、現行法で最長名称記録をもつ「テロ特措法」の正式名称からその本来の主旨を読み取ってみるという試みの記事が朝日新聞で報じられているので紹介する。



『「テロ特措法」の正式名称を書き出すと、こんな具合になる。「平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律」
だが、法案を審査する内閣法制局に内閣官房から初めて原案が示された01年9月25日の時点では、もっと簡単だった。「アメリカ合衆国の軍隊等の活動」を支援することが率直にうたわれている。
テロ特措法は「走りながらの法案づくりだった」と法制局関係者は振り返る。01年9月の米同時多発テロを受け、政府内で検討がスタート。米軍の軍事報復に間に合わせようと急ピッチで作業が進められたが、与党などの意向を受けて、原案は4度にわたって内閣官房で書き換えられた。
「アメリカ合衆国の軍隊等」が「諸外国の軍隊等」に変わったのは27日の第2案。10月1日の第4案では、「軍隊」という言葉すら消され、「諸外国の活動」への支援をうたうことになった。
一方、第4案では、それまで「支援等」とひとまとめにしていた部分を詳しくして「支援及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置」と書き足された。「諸外国の活動」にも、最終案で「国際連合憲章の目的達成のための」という枕詞(まくらことば)が加わった。(9月16日朝日新聞)



「アメリカ合衆国の軍隊等の活動」を支援することが率直にうたわれている。(続く)

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安倍首相辞任効果のテロ特措法(7)


あべこべになった安保理決議前文の「謝意」

既に各紙で報じられている、国連安保理への日本とドイツの「謝意」要請について、強い米国の後押しがあり辛うじて前文に盛り込まれたが、反って日本政府にとっては、やぶ蛇な結果をもたらすことになった。兎に角、何をしてもあべこべの結果しか出せなかった安倍首相と総裁にもろ手を挙げて推挙した自民党国会議員の茶番を超えた無法劇の三幕だった。そして、本日から福田総裁の下で四幕が開幕する。


【9月24日政治ニュース】 21日毎日新聞は国連安保理のアフガン決議について、ロシアが棄権したその背景について報じている。
『露が批判声明文 小沢氏主張裏付ける=アフガニスタンに展開する国際治安支援部隊(ISAF)に関する国連安保理決議案の採択でロシアが棄権した問題で、ロシア外務省は20日、「これまで安保理で議論されたことがないインド洋の海上阻止活動が盛り込まれ、棄権せざるを得なかった」とする報道声明文を発表した。安保理で拒否権を持つロシアが、現時点で海上阻止活動を受け入れていないことを明確にしたもので、「米国の活動を国連安保理で承認する決議はない」とする民主党の小沢一郎代表の主張が逆に裏付けられた形。民主党対策で採択を急いだ日本政府の読みの甘さが浮き彫りになった。』、さらに『海上阻止活動を行う根拠について米国などの提案国に説明を求めたが、無視され、性急な採択が行われた」と批判した。』



さらに20日、朝日新聞は給油謝意を前文に入れることに対して、安保理各国に反感があり、安保理決議の分裂は「日本のせい」であったことの国連事情を伝えている。

『決議分裂「日本のせい」、安保理各国に反感 給油謝意=テロ対策特別措置法に基づくインド洋での海上自衛隊の給油活動を継続するため、日米が目指した「国連決議によるお墨付き」は、ロシアの棄権という想定外の結果に終わった。
ロシアのチュルキン国連大使は決議の本来の目的である国際治安支援部隊(ISAF)の任務延長を、米国主導の対テロ作戦「不朽の自由」(OEF)からはっきり区別。「(OEFの有志)連合の活動は国連の枠外のものだ」と言い切った。
背景には「安保理の一員でもない特定の国」(チュルキン大使)の国内事情を、安保理決議の交渉に持ち込んだ米国への反発がある。米国は前文をいじるだけなら全会一致に持ち込めると踏んだが、読み違った。
全会一致が崩れた原因が「これまでなかった海上阻止活動への言及」(同大使)にあるのは明らかだ。各国は「分裂は日本のせいだ」と見ている。賛成した中国の劉振民・国連次席大使も「全会一致を目指す努力を怠ってはいけない。これが前例とならないことを願う」とくぎを刺した。』



日本政府は、「国際=国連」という言葉を錦の御旗として強調したがるその一因に、公明党の強い要望がある。「平和への貢献」がそのキャッチフレーズになっている。しかし、ロシアのチュルキン国連大使がいみじくも公明党の願望を覆す発言をしている。
『決議の本来の目的である国際治安支援部隊(ISAF)の任務延長を、米国主導の対テロ作戦「不朽の自由」(OEF)からはっきり区別。「(OEFの有志)連合の活動は国連の枠外のものだ」と言い切った。』
アフガニスタンへの対テロ戦争「不朽の自由」(OEF)は米国の個別的自衛権の戦争であることを米国は元より安保理関係国(国際=国連)はまぎれもなく認知している証拠である。



だから、【21日政治ニュース】で、「公明党は、錦の御旗を掲げることができたと喜んだが、これはぬか喜びに過ぎない」と警鐘しているのだ。(続く)

安倍首相辞任効果のテロ特措法(6)


【格物致知】 護憲的安全保障について

フジ産経ビジネスiに「佐藤優の地球を斬る」のコーナーがある。9月19日はタイトル「総理大臣の辞任」について、総理大臣の辞任と安全保障についての自説を披露している。

「総理大臣の辞任」は、安倍首相の辞任に関するマスコミ等の指摘に対する警鐘になっているが、ここでは、その警鐘から佐藤氏の安全保障の考えについて言及する。



安倍首相の辞任劇のストーリーになっている「テロ特措法」の延長問題は、国内問題に止まらない話題の焦点になっている。
連日マスコミ等はこの成り行きの報道に終始して、参院選での年金問題が「テロ特措法」延長問題に取って代わっている。この移行を優先させたのがシドニーでの記者会見であり、前代未聞の首相辞任劇であった。従って、今や延長問題は国論を二分する世論合戦に余念がない状況を呈している。
この前提に基づき、延長問題について、佐藤氏は今回の論評で「継続を支持する」声明をだしている。
約2ヶ月前、延長問題について、小沢代表とシーファー駐日米大使の会談が行われてから、世論の動向が延長に対して圧倒的反対であったものが、延長支持に変説もしくは関心を持ち始めている現象になってきている。
そして、佐藤氏は世論の動向を反映するかのように「継続を支持する」論評を書いている訳だが、その支持する精神風土は、国民各自の次元的言葉で解釈してはいるものの、その先見的受容上では国民総じて、「理念と現実」を超越した利己判断を有してのものだといえる。



その根拠の例えを下記に佐藤氏の論評の一部を掲載して考えてみたい。
『中東ではビンラディン氏の新しいビデオが出回ったり、アフガニスタンではタリバーンが回復基調にある状況で、日本がアメリカと連携して対テロ国際協力を継続することを筆者は支持する。筆者は、既に安倍氏が対外的に公約しているのであるから海上自衛隊がインド洋上での給油活動も継続すべきであると考える。いずれにせよ日本政治の論理は極めて奇怪であるという印象が今回の安倍辞任劇で国際的に広まった。産経抄は「世界の笑いものになった」と指摘するが、事態はもっと深刻で「日本は東洋の神秘」であるという印象が強まったというのが正直なところだと思う。』(佐藤優:「総理大臣の辞任」)



佐藤氏はきっぱりと「日本がアメリカと連携して対テロ国際協力を継続することを筆者は支持する。」と書いている。即ち、日米同盟の下に、米国の対テロ戦争への支援を継続すべきだと主張しているのだ。佐藤氏は「米国の対テロ戦争への支援」が明確になっている現況で、「対テロ国際協力」という普遍的な表現に置き換えて支持するといっている。これは、佐藤氏にしてみれば極めて欺瞞かつ詐欺的手法の表現になる。
というのは、佐藤氏は「世界」5月号での「施行60年目の憲法状況」での論評で、自ら「硬直した護憲の立場に立つ」と護憲論を支持している。そして、「山川均の平和憲法擁護戦略」のタイトルで論じている、その骨子を紹介して、佐藤氏が「国家=社会」というものをどのように考えているかを述べてみる。



『山川は、日本の平和に逆行する日米軍事同盟と構造的に不可分一体の関係にあるサンフランシスコ平和条約に反対する。連合国の占領下という特殊事情の下で憲法第9条で規定された戦争放棄、戦力の不保持、交戦権の否認が、今度は日米軍事同盟に結びつけられ、平和とは根本的に異質な原理に換骨奪胎されたことを見て取ったからである。ここで山川がサンフランシスコ平和条約と日米安全保障条約を拒否するのは、理想的状態から見てあってはならないという、統整的理念に基づくものだ。・・・
山川には統整的理念という、人間の努力によっては到底達成できない夢と、同時に今この場所にある社会生活を改善していくという面が並存している。』(佐藤優:世界5月)



要するに、「理想(理念)と現実」の二重性を尊重することが前提で、より国益を考えた判断を優先しなければならないというわけだ。一見大いなる矛盾ではあるが、矛盾を受容することで安定を模索する手法である。佐藤氏はじめ、多くのクリスチャンは矛盾を受容して実践を現実化する。
これで、佐藤氏の護憲論と日米同盟推進の論理が破綻することなく、より国益を求めての不断の努力がなされる訳だ。



矛盾を受容することは、これまで繰返されてきた「解釈」をこれからも続けるということの証である。
「解釈」の連続は解釈を生み、矛盾をもはや斟酌しない次元にまで追いやり、結局は戦争を容認することを拒否できなくしてしまっている。こうして、改善というお先棒で、自己の正当性を辛うじて内在させその破滅に向わせる。とどのつまりは彼らにとっては、破滅の一歩手前で、憲法9条、護憲を宗教化することで何とか生きながらえる。



給油延長に賛成の声が日増しに増える背景は、佐藤氏の論に見るように、結局はよくよく考えれば延長が国益につながるという結論になる。「戦争の概念」を放棄したのであって山川均氏の二重性を担保したことにはつながらない。従って、佐藤氏の欺瞞であると指摘したのだ。しかし、これが世間というものだろう。
9月16日フジテレビ「報道2001」でゲストの鳩山由紀夫幹事長に毎日新聞編集局顧問岩見隆夫氏が「民主党の「テロ特措法」の何がなんでも反対の姿勢は理解できない。給油活動を継続しながらテロ特措法の見直しができないものか、そこが分からない」と発言した。岩見隆夫氏はもともと与党支持解説者であるからこの発言は驚かないが、発想の「継続をしながら」という考えが、日本の矛盾を無視して世界を論じているというマスコミの空恐ろしさだ。



岩見隆夫氏は1935年、佐藤優氏は1961年生まれである。
日米同盟の重要性に対する傾注は解らないでもないが、集団的自衛権の基本的認識を原点理解して、「矛盾の受容」と「二重性の担保」を中心に置き、日本は戦争ならびに戦争加担をしてはならないと、国益を考える前に理解できる力を持たなければならない。
戦前から綿々と続く草の根軍国主義の国民と権力の癒着を断ち切らないと、「平和主義」とは何かを恒久的に語ることができない。



自民党の雪崩現象も深刻だ、勝ち馬に乗る国民意識も深刻だ。さらに、佐藤氏のような護憲論者で且つ日米軍事同盟推進論者の国益優先を講釈する発想が、日本に定着してきている現実が「もっと深刻」だと指摘したいところだが、もはやそれは「もっと深刻」などというものではない。
「絶望」と例えた方が的を射た言葉ではないだろうか。



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安倍首相辞任効果のテロ特措法(5)


海自給油活動は、米軍のイラク作戦のためでもあった

【9月22日政治ニュース】 20日、NPO法人「ピースデポ」代表の梅林宏道氏は、国会議員会館で記者会見を行い、「テロ特措法」による海自の燃料補給が、アフガン戦争(対テロ戦争)と関係のないイラク戦争に係わっていた事実を公表した。
その全貌は、「ピースデポ」のホームページに「海自艦が給油した米艦はイラク作戦に使用した」のタイトルで調査・緊急報告として掲載されている。



要点は、2003年2月25日、補給艦「ときわ」が米空母「キティホーク」に間接給油したことが、5月6日、空母が横須賀に帰還したとき明らかになり、国会でも論争され、問題になっていたことの真相究明である。
「ピースデポ」のホームページから一部掲載する。 
『調査された海軍公文書は、米給油艦ペコス、空母キティホーク、イージス巡洋艦カウペンスの航海日誌とキティホークの2003年司令官年次報告である。
「ときわ」が給油をした相手の船は、給油艦ペコスであり、同じ日にペコスから空母キティホークと巡洋艦カウペンスに給油された。「ときわ」が給油した燃料油は、約80ガロンであり、キティホークが得たと発表された全量と一致する。給油を受けた場所、その後のキティホークの航跡は、空母が「不朽の自由作戦(OEF)」に従事したという説明は、ほとんど成り立たないことを示している。給油された燃料の大部分はペルシャ湾内でのイラク「南方監視作戦(OSW)」のために使ったと結論づけることができる。これは、「対テロ特措法」に違反する。
日本政府のもつ第一次情報の公開と、少なくとも違法に給油された燃料の返還が必要である。

●根拠文献 : 2004年から2006年にかけ、米情報公開法による請求、あるいは海軍歴史センター(米ワシントンDC)における閲覧によって得られた。』



市民団体「イラク派兵差し止め訴訟の会」は、「イラク特措法」による空自C-130輸送機の活動は、ほとんど米軍兵士の輸送に使われていたという事実を今年にかけて明らかにした。これと全く同じ究明が行われたことになる。要するに、自衛隊が「アフガニスタン」、「イラク」に関わっていることは、明らかに法律違反であり、正真正銘の立派な日米同盟の後方支援(米国の戦争への加担)でしかないことが全て解明されたことになる。(続く)



戦後日本は、朝鮮戦争に始まり、イラク戦争と続く米国の戦争を支援することでしか生きてこれなかった。この現実を目の当たりにして、改めて、情けないを超えて日本の侵略戦争の罪深さを思い知らされる。

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安倍首相辞任効果のテロ特措法(4)


安全保障理事会決議文に「謝意」が盛り込まれたことに対して、公明党は、錦の御旗を掲げることができたと喜んだが、これはぬか喜びに過ぎない。

北側一雄【写真】北側一雄幹事長

【9月21日政治ニュース】 19日時事通信は、『公明党の北側一雄幹事長は19日午前の記者会見で、国連安全保障理事会決議案に海上自衛隊によるインド洋での給油活動への「謝意」が明記されたことについて「国際社会から高く評価されている。さらに継続をしてもらいたいという要請があることをまさしく裏付ける事柄ではないか」と歓迎した。』と伝えている。



さらに、高村防衛相は、このお墨付きで「民主の反対理由なくなる」とまで言い切った。
『「現時点でも(海自活動に)十分国連のお墨付きがあると考えているが、民主党の小沢一郎代表は『ない』から反対だと言っている。それ(新たな決議)があれば一番大きな反対理由はなくなるのではないか」と述べ、民主党の方針転換につながることに期待感を示した。』(19日時事通信)



上記の与党関係者の喜びとは裏腹に民主党の鳩山由紀夫幹事長は、新決議文があっても、今後も変わらず反対を貫くと主張している。
『十九日午前、インド洋での給油活動継続に向けた国連安全保障理事会での新決議について、都内で記者団に「そのことによって民主党の考え方が変わることはない」と述べ、引き続き給油継続に反対していく考えを明らかにした。
鳩山氏は「一つのことがクリアされたから(給油継続が)大丈夫という発想にはならない。とってつけたように事後的に安保理決議ができたとしても順序が逆」と指摘した。』(19日東京新聞)



「前文」での文言は外交辞令にすぎない

与党が錦の御旗を手にして喜んでいるが、実はこれは、日本とドイツのたってのお願いで、さらに、米国の強い後押しがあり、安保理関係国は仕方なく「前文」になら外交辞令として入れてもよいということに過ぎなかったことを一部のマスコミが報じている。要するに決議文の「前文」だから何の拘束力もしくは影響力も持たないということである。「謝意」は極めて外交辞令の挨拶程度のしろものだということだ。(続く)

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