政治ニュースを深く読み解く。安倍内閣、イラク、北朝鮮、日米同盟など話題の政治ニュースの実態を追求!

2007年01月13日

安倍内閣 労働ビッグバン

最近、安倍内閣主催の各委員会で愚かな意見が出始めているという政治ニュース。相変わらず問題ありの教育再生会議の野依良治座長は「塾は禁止」と再三繰り返し発言を行なっているまた、経済財政諮問会議では八代尚宏委員は 昨年12月18日、労働市場改革についてのシンポジウムで、企業内の格差是正のためには「正社員の待遇を非正規社員の水準に合わせることも必要だ」、さらに、「既得権を持っている大企業の正社員が、非正規社員や下請け企業の労働者などの弱者をダシにしている面がかなりある」と発言している。



「弱者をダシにしている面がかなりある」は経済連、マスコミ等から直ちに大胆発言と揶揄されたが、非正社員問題が一般的格差問題から「身分格差」に深化しつつある現状において、どの程度「ダシ」にしているかを論議、話題に値する貴重な発言と言えるものである。多分この八代発言を受けてだと思われる、28日朝日新聞はオピニオン欄一面で当人からの展望(対談・労働ビッグバン)を掲載している。再び「労働ビッグバン」について論議する気運になればさらに望ましいことである。しかし、既に「労働ビッグバン」については、経済連の鶴の一声で掻き消されてしまっている。ご承知のように、経団連会長が御手洗氏になり、政党への献金奨励策等、政府との二人三脚が際立つようになってきている。



上記の政治ニュースが流れた背景は、企業のグローバル競争から、正常な時間推移による緩やかな成長路線が望めなくなった企業の生き残り戦略としての「労働ビッグバン」は、日本の高度成長時に蔓延った豊かさ、中流意識による安堵感がもたらした日本流保守主義が労働者自身を代表するようになった結末が招いたとも言える。既に労働組合の組織低下と空洞化は、経営陣の思う壺になっている。労働者一個人の自信は敢え無く、束の間のお楽しみで、今やまな板の鯉、自信喪失の萎縮状態を余儀なくされている。しかし、国、会社、神頼みは変わらず、もはや組合を必要としない。その現実が組織率18.2%という数字が物語っている。これに拍車を掛けているのが10年前に遡るパート労働者との確執問題である。即ち、「身分格差」の問題はずっと引きずっていたのである。「差別」という厄介な言葉を抹消して系列化してきた労働市場で避けてきた組合自体の問題が大きい。そして、今日の体たらくは、自民党雇用調査会から、格差問題が深刻に論じられ、後藤田正純事務局長から労組の消滅を訝しがられるという事態までになってしまっている。各労組幹部の責任は重い。これは、既に03年経団連奥田碩前会長の「労働組合運動が内部から自壊する危機にひんしている」との指摘どおりである。



ところで、どの程度の「ダシ」かについては、発言以後、緘口令の嫌いである。どうも八代氏発言の「既得権」という言葉が引き金になっているようだ。身に覚えのある方なら殆どこの言葉はタブーとして余り論じて欲しくない権益話しである。公務員と正社員はこの「既得権」を頼りに労働に従事していると自己確信している節がある為か、今の自己聖域を弄くられることは、仕事での労苦は兎も角として、耐えられないことのようだ。要するに、何の為に辛抱、苦労してきたのかということだ。そして、この正社員労働者の結集が「ホワイトカラー・エグゼンプション」(労働時間規制の撤廃)に対する連合会長の「反対貫き通す」となって実現している。その決意は「蟷螂の斧」ということらしいので、自民党内での参院選対策の労働ビッグバン反対と符合してこれもお蔵入りするかも知れない。自民党にとっては、選挙前に格差問題の傷口をこれ以上広げると勝てないという危機感から一旦はお預けの選択肢ということだろう。
何れにせよ、日本人は問題を是正する方法論として、無かった話での白紙というのは特異であるが、風呂敷包みを開き全てを隠さず見せる、白紙に戻して検討するといった大鉈を振う方法は苦手のようである。今までの「既得権」の喪失が直ぐに脳裏を過るからだろう。



パンドラの箱を誰がどのように開けるかが問題である。外資系企業と成長した御手洗経団連会長の鼻息は荒い、しかし、政府は強気だが、参議院選を控え敢えて、てぐすねひく野党の餌食になる展開は避けて、飽く迄も議論であり法案提出に止めるだろう。また、議論にしても、政府案の対象者所得900百万以上に対して、経団連の400百万以上とする金額の差額は段違い論である。しかしながら、同時に導入される対象外労働者の残業代割増率引き上げ問題は格差是正の目玉論で先送りも限度がある。ついでに公明党太田代表の、常に煮ても焼いても食えない表明に終始する発言を紹介しておこう、「働いている方たちの感情、心情もあるし、拙速になってはならない」。



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