2006年05月02日
政治ニュース 放射能汚染
あるMLで一冊の環境警告書が紹介された。タイトルは『放射能がクラゲとやってくる――放射能を海に捨てるって ほんと?』(水口憲哉著=七つ森書館)、かなりショッキングな文言だ。海洋生態環境に少し興味のある方なら著者の名前を知らない人はいないだろう。
4月24日、「六ヶ所再処理工場・配管から放射性物質漏えい」というニュースが報じられて、改めて漏洩がダイレクトに放射能とつながり一気に危険指標が、このタイトルを見た人に降りかだった。
4月30日、[AML 6863] 日本原燃の海洋への放射能放出に抗議する(美浜の会HP・転載者:増田 哲也)「美浜の会』の抗議声明が紹介された。抗議文は美浜の会HPでご覧頂きたい。その内容は、怒りと恐れの混在する不安定の精神状況に陥らざるを得ない、ムンクの絶叫の境地にさせる。水俣病50年の教訓をまたしても裏切る、三つ子の魂百までの行政責任の回避、国の戦争責任の回避を如実に物語っている。日本は如何なる状況に突入しても、権力の国そのものが、省みる試み、公力の行使を実施したためしがない。確かに、近年、ファッション的民主主義が闊歩して、一見自由そのものを体現している様だが、そのファッションは自ら監視社会を到来させる為の予備行為であることに全く気づいていない。これと同じことが、海の放射能汚染の話である。今、私達は凝結自由と濃縮放射能攻撃の為に、静かな死を受け入れる為の覚悟を悟る為のより詳細な情報共有を持つのか、それとも死と恐れを排除する為に、行政、国との勝負を賭けるかのどちらかでしかない。いよいよ、本当に市民運動も八方塞がりの雪隠詰めの様相になってきた。この辺が覚悟の潮時である。
問題の共有認識を持つ為に、MLで紹介された著作の[本文]と[あとがき]の一部抜粋を掲載する。
【下記はMLからの転載】
[本文より]
『人びとは事実を知った時、“こんなことがあってよいのか、大変なことになる”と考える。漁業者や消費者そしていろいろな仕事の市民の取り組みに見られる共通の想いは、“放射能を海に捨てないで下さい”の一言につきる。』
[あとがき](一部抜粋)
『“「核燃料サイクル施設」――その漁業への影響”という講演を青森市の青森県民シンポで行なったのは一九八四年一二月である。この時は具体的に地元青森県の太平洋沿岸でどのようなことが予測されるかを話した。その後東奥日報からの依頼原稿に放射能は岩手県まで流れると書いたのが理由でか掲載拒否となり、“北奥羽の海を拓く”というNHKの番組では、三陸沿岸まで放射能が流れるという発言を削除してくれという青森のディレクターの要望を拒絶したりということで、青森県外に六ヶ所か
ら放射能が流れてゆくということを伝えるのはなかなか難しかった。
二〇〇二年、青森、千葉、東京の人々から相談がもちかけられその八月末に一万枚の漂流葉書を六ヶ所村の放流管の放出口海面で流した。それらの葉書が太平洋沿岸を南下し、千葉県にまで流れつくという予想外のことが起こった。
人びとは事実を知った時、誰でも“こんなことがあってよいのか、大変なことになる”と考える。そこには常識による連帯が生れる。岩手県民は、県議会、県知事、沿岸一五市町村、岩手県漁連、岩手県生協、市民団体等が日本原燃に岩手県での説明会開催を求めた。そしてこの間の日本原燃の姑息なふるまいに不特定多数の人びとが再処理工場の危険性とウサン臭さに気が付いてしまった。
三月三一日の試運転開始が決定している三月二八日に、日本原燃は一転して久慈市と宮古市であわただしく説明会を開いた。宮古市での様子を報ずる岩手日報の見出しは“安全に疑問、不安噴出、質問できず怒号も”というものであるが、終了時の会場は騒然たるものだったという。人びとが事実を知った時に、この騒然たる情況は日本中に拡がってゆくだろう、放射能の流れていく範囲を超えて。
再処理工場の試運転で、放射能汚染をはじめとする問題点が次つぎと明らかになってゆく。三月三一日は、再処理工場の終わりが始まる日である。
二〇〇六年三月三一日 いすみ市岬町の資源維持研究所にて 水口 憲哉 』
最後に、MLで「21世紀最大で深刻な海洋汚染です。」の見出しで紹介されている昨年の漁連の出版物からの水口氏のコメント(抜粋)を掲載する。
『・・また、原子力関連企業の出している、この5月発行のFBニュースで、福井県原子力環境監視センターの吉岡所長が1981(昭和56)年4月18日に起こった敦賀原子力発電所における放射能漏洩事故についてまとめている。事故で溢れ出した放射能廃液の始末に困り、浦底湾に放出した意図的たれ流しであったが、名古屋の市場でまで福井県の水産物が取扱中止となりショックだったことを覚えている。
湾内の放射能汚染を調べるために月1回行なっているホンダワラ(モクと呼ばれている海藻)の放射能測定でコバルト60の値が予想値の45倍検出された。吉岡氏は、4月8日に採取したこの海藻の放射能汚染は「低濃度であり環境安全上問題となるものではなかったが、国の発表の仕方が混乱を助長したとも言えるであろう。」とし、この事故が公表された4月18日の10日以上前にたれ流しは分かっており、隠し切れずにホンダワラの放射能汚染ということで発表したが、国のやり方がまずかったので混乱したといっている。混乱の内容は、「一方、この事故とともに起きたことでは『魚介類・ワカメ等の買い控え/ワカメの岸壁山積み/民宿キャンセル/ほぼ全ての大都市の中央市場からの海産物入荷拒否/約半年間の運転停止命令/風評被害補償/施設改修工事』などがある。中でも県内海産物の入荷拒否は痛手で、実害であり、約140億円近くの補償がなされている。」
水産物の加工業者や流通業者が損害賠償を求めて裁判を起こしたが認められなかったというのは知っていたが、総額140億円もの補償がなされていたとは知らなかった。いくら原子力関係とは言え、福井県の職員が、海における海藻の放射能汚染は問題がなかったが、国の発表の仕方が悪かったので混乱したのだとしゃあしゃあと言って済ませているのを知ったら、一時壊滅的な影響を受けた福井県の漁業関係者はどう思うだろう。原発建設時に漁業補償を受けとっているからと諦めてしまったのだろうか。
本当は、こういうことも起こることを含めての漁業補償の前払いなのだから敦賀事故では補償しなくても良いと電力会社は開き直ることができた。しかし、影響は敦賀市だけでなく福井県に、そして敦賀原子力発電所の増設や県内での新たな原子力関連施設の計画があるので、金でなだめたということのようである。施設が建設され運転されてしまったら、放射能汚染に対しては金で対応するしかなく、しかし、金を受け取ったからといって事態は改善される訳ではなく泥沼にはまっていく。
敦賀原発周辺地域でガン患者が激増しているという噂について調査をし実態を明らかにしたのが明石昇二郎が“技術と人間社”から1997年(平成9)年に出版した「敦賀湾原発銀座『悪性リンパ腫』多発地帯の恐怖」である。しかし、福井県や国そして電力会社はこの調査報告を無視して全く検討しようともしない。敦賀原発の場合、事故だからこれだけの放射能汚染が海藻で起こったとされているが、再処理工場の場合には、原発の数十倍の放射能を海にたれ流さないと運転できない。再処理工場では毎日原発事故と同じ程度の放射能による海洋汚染を起こさないと運転できない。というよりは、それを前提として国が建設と運転を認めている。結果として、海洋の放射能汚染は甚大なものとなる。
現在、青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場の半分の規模のイギリス・セラフィールドの再処理工場による北海の放射能汚染は大変なことになっている。漁業国ノルウェーではロブスターや海藻の放射能汚染が大問題となり、2002(平成14)年3月ノルウェーの首相はテレビ放送を利用して、セラフィールドからのイギリスの放射能放出に抗議するためベルゲンの市街に出るように市民に呼びかけた。この時、ベルゲンでは第5回北海保護国際会議が開かれ、10人の環境大臣の1人としてイギリスのマイケル・ミーチャー環境大臣も出席していた。県境どころか国境をも越えた海洋汚染なのである。ノルウェーは北海の北端にある。 (「ぎょれん」7月号p14「羅針盤104」)
4月24日、「六ヶ所再処理工場・配管から放射性物質漏えい」というニュースが報じられて、改めて漏洩がダイレクトに放射能とつながり一気に危険指標が、このタイトルを見た人に降りかだった。
4月30日、[AML 6863] 日本原燃の海洋への放射能放出に抗議する(美浜の会HP・転載者:増田 哲也)「美浜の会』の抗議声明が紹介された。抗議文は美浜の会HPでご覧頂きたい。その内容は、怒りと恐れの混在する不安定の精神状況に陥らざるを得ない、ムンクの絶叫の境地にさせる。水俣病50年の教訓をまたしても裏切る、三つ子の魂百までの行政責任の回避、国の戦争責任の回避を如実に物語っている。日本は如何なる状況に突入しても、権力の国そのものが、省みる試み、公力の行使を実施したためしがない。確かに、近年、ファッション的民主主義が闊歩して、一見自由そのものを体現している様だが、そのファッションは自ら監視社会を到来させる為の予備行為であることに全く気づいていない。これと同じことが、海の放射能汚染の話である。今、私達は凝結自由と濃縮放射能攻撃の為に、静かな死を受け入れる為の覚悟を悟る為のより詳細な情報共有を持つのか、それとも死と恐れを排除する為に、行政、国との勝負を賭けるかのどちらかでしかない。いよいよ、本当に市民運動も八方塞がりの雪隠詰めの様相になってきた。この辺が覚悟の潮時である。
問題の共有認識を持つ為に、MLで紹介された著作の[本文]と[あとがき]の一部抜粋を掲載する。
【下記はMLからの転載】
[本文より]
『人びとは事実を知った時、“こんなことがあってよいのか、大変なことになる”と考える。漁業者や消費者そしていろいろな仕事の市民の取り組みに見られる共通の想いは、“放射能を海に捨てないで下さい”の一言につきる。』
[あとがき](一部抜粋)
『“「核燃料サイクル施設」――その漁業への影響”という講演を青森市の青森県民シンポで行なったのは一九八四年一二月である。この時は具体的に地元青森県の太平洋沿岸でどのようなことが予測されるかを話した。その後東奥日報からの依頼原稿に放射能は岩手県まで流れると書いたのが理由でか掲載拒否となり、“北奥羽の海を拓く”というNHKの番組では、三陸沿岸まで放射能が流れるという発言を削除してくれという青森のディレクターの要望を拒絶したりということで、青森県外に六ヶ所か
ら放射能が流れてゆくということを伝えるのはなかなか難しかった。
二〇〇二年、青森、千葉、東京の人々から相談がもちかけられその八月末に一万枚の漂流葉書を六ヶ所村の放流管の放出口海面で流した。それらの葉書が太平洋沿岸を南下し、千葉県にまで流れつくという予想外のことが起こった。
人びとは事実を知った時、誰でも“こんなことがあってよいのか、大変なことになる”と考える。そこには常識による連帯が生れる。岩手県民は、県議会、県知事、沿岸一五市町村、岩手県漁連、岩手県生協、市民団体等が日本原燃に岩手県での説明会開催を求めた。そしてこの間の日本原燃の姑息なふるまいに不特定多数の人びとが再処理工場の危険性とウサン臭さに気が付いてしまった。
三月三一日の試運転開始が決定している三月二八日に、日本原燃は一転して久慈市と宮古市であわただしく説明会を開いた。宮古市での様子を報ずる岩手日報の見出しは“安全に疑問、不安噴出、質問できず怒号も”というものであるが、終了時の会場は騒然たるものだったという。人びとが事実を知った時に、この騒然たる情況は日本中に拡がってゆくだろう、放射能の流れていく範囲を超えて。
再処理工場の試運転で、放射能汚染をはじめとする問題点が次つぎと明らかになってゆく。三月三一日は、再処理工場の終わりが始まる日である。
二〇〇六年三月三一日 いすみ市岬町の資源維持研究所にて 水口 憲哉 』
最後に、MLで「21世紀最大で深刻な海洋汚染です。」の見出しで紹介されている昨年の漁連の出版物からの水口氏のコメント(抜粋)を掲載する。
『・・また、原子力関連企業の出している、この5月発行のFBニュースで、福井県原子力環境監視センターの吉岡所長が1981(昭和56)年4月18日に起こった敦賀原子力発電所における放射能漏洩事故についてまとめている。事故で溢れ出した放射能廃液の始末に困り、浦底湾に放出した意図的たれ流しであったが、名古屋の市場でまで福井県の水産物が取扱中止となりショックだったことを覚えている。
湾内の放射能汚染を調べるために月1回行なっているホンダワラ(モクと呼ばれている海藻)の放射能測定でコバルト60の値が予想値の45倍検出された。吉岡氏は、4月8日に採取したこの海藻の放射能汚染は「低濃度であり環境安全上問題となるものではなかったが、国の発表の仕方が混乱を助長したとも言えるであろう。」とし、この事故が公表された4月18日の10日以上前にたれ流しは分かっており、隠し切れずにホンダワラの放射能汚染ということで発表したが、国のやり方がまずかったので混乱したといっている。混乱の内容は、「一方、この事故とともに起きたことでは『魚介類・ワカメ等の買い控え/ワカメの岸壁山積み/民宿キャンセル/ほぼ全ての大都市の中央市場からの海産物入荷拒否/約半年間の運転停止命令/風評被害補償/施設改修工事』などがある。中でも県内海産物の入荷拒否は痛手で、実害であり、約140億円近くの補償がなされている。」
水産物の加工業者や流通業者が損害賠償を求めて裁判を起こしたが認められなかったというのは知っていたが、総額140億円もの補償がなされていたとは知らなかった。いくら原子力関係とは言え、福井県の職員が、海における海藻の放射能汚染は問題がなかったが、国の発表の仕方が悪かったので混乱したのだとしゃあしゃあと言って済ませているのを知ったら、一時壊滅的な影響を受けた福井県の漁業関係者はどう思うだろう。原発建設時に漁業補償を受けとっているからと諦めてしまったのだろうか。
本当は、こういうことも起こることを含めての漁業補償の前払いなのだから敦賀事故では補償しなくても良いと電力会社は開き直ることができた。しかし、影響は敦賀市だけでなく福井県に、そして敦賀原子力発電所の増設や県内での新たな原子力関連施設の計画があるので、金でなだめたということのようである。施設が建設され運転されてしまったら、放射能汚染に対しては金で対応するしかなく、しかし、金を受け取ったからといって事態は改善される訳ではなく泥沼にはまっていく。
敦賀原発周辺地域でガン患者が激増しているという噂について調査をし実態を明らかにしたのが明石昇二郎が“技術と人間社”から1997年(平成9)年に出版した「敦賀湾原発銀座『悪性リンパ腫』多発地帯の恐怖」である。しかし、福井県や国そして電力会社はこの調査報告を無視して全く検討しようともしない。敦賀原発の場合、事故だからこれだけの放射能汚染が海藻で起こったとされているが、再処理工場の場合には、原発の数十倍の放射能を海にたれ流さないと運転できない。再処理工場では毎日原発事故と同じ程度の放射能による海洋汚染を起こさないと運転できない。というよりは、それを前提として国が建設と運転を認めている。結果として、海洋の放射能汚染は甚大なものとなる。
現在、青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場の半分の規模のイギリス・セラフィールドの再処理工場による北海の放射能汚染は大変なことになっている。漁業国ノルウェーではロブスターや海藻の放射能汚染が大問題となり、2002(平成14)年3月ノルウェーの首相はテレビ放送を利用して、セラフィールドからのイギリスの放射能放出に抗議するためベルゲンの市街に出るように市民に呼びかけた。この時、ベルゲンでは第5回北海保護国際会議が開かれ、10人の環境大臣の1人としてイギリスのマイケル・ミーチャー環境大臣も出席していた。県境どころか国境をも越えた海洋汚染なのである。ノルウェーは北海の北端にある。 (「ぎょれん」7月号p14「羅針盤104」)