どうする 民主党 新日米同盟(18)
国際紛争と憲法9条
然らば、伊勢崎氏の主張する『「一般市民を殺さない」国際貢献のためには九条を改正してはならない』は、いささか矛盾することになる。国際紛争の解決手段として戦争を放棄しているのが憲法9条である。そして、忘れてはならないことは、武力行使、戦争は必ず一般市民を殺すということだ。
日本政府のイラクへの自衛隊派遣について、日本人の「平和ボケを最大限に利用した発言です。イラクで殺された人たちには、日本にとっての北朝鮮問題など関係ない。自分たちの平和を他の民族の血であがなって平然としているのは、国家の品位が疑われます。」(5月1日東京新聞)と批判しているが、品位が疑われるのは、世界の現況を追認して、憲法9条を信奉する現在の日本人である。
これでほぼ、どうして伊勢崎氏はNHK番組で「日米同盟は現状でよい」という選択をしたのかという疑問は理解できたかと思われる。伊勢崎氏にすれば打ってつけの質問であった訳だ。善意に勘繰れば、解説者は藪蛇にならないように説明を避けたのかも知れない。
最後に「文民統制」について考えてみたい。
伊勢崎氏は「近代民主国家による国際平和のための海外派兵は、文民統治が原則である。」、「日本社会が、“軍”に既得権を与えないというこの仕組みを、未来永劫、内包するために、この先、政局がどう転んでも、憲法では“軍”の存在を明記しない方がいい。」(日本の論点)と自衛隊歯止め論をきっちり謳っている。今年になり、防衛庁が防衛省に昇格して盛んに吹聴されているシビリアン・コントロールである。
しかし、日本の自衛隊は、現在は米軍の後方部隊であり、世界の要請と日本政府自らの渇望として多国籍軍の仲間入りを画策している現実状況では、理念は常に裏切られる宿命を背負っているというこれまでの解釈を覆すことはできない。解釈の追認、継承は、「ミイラ取りがミイラになる」ことだ。(続く)