安倍首相辞任効果のテロ特措法(9)
高村防衛相の「中東からインド洋、マラッカ海峡を経て日本に至るシーレーンの安全は国益に直結する。」こと自体の説明は、間違ってはいないが、何も「テロ特措法」制定からタンカーの航海を変更して今日あるわけではない。このルートは中国も共有している以前からの航海ルートで、いまさら何を宣ふかだ。従って、政府の見解は、元々安全航海が約束されているのは、日米同盟に基づく抑止力が働いているからだと、米軍の抑止力効果を説明し始め、その効果とは、何も起こっていないこと事態がその効果であると講釈を披露する。特に防衛省幹部関係者はこのことを力説する。
しかし、「恒久法」推進者の森本敏氏(拓殖大海外事情研究所長)ですら中東全体の海上輸送抑止論を展開すると、『「イラク作戦もやっていた」という議論の土俵に乗ることになる』と指摘している。要するに、日米同盟の下に法の趣旨である米国の後方支援を主張するほうが国民の理解が得られるという意見だ。森本敏氏は、日米同盟のためなら、狂牛病米肉を食べると言い切った御仁である。
しかし、政府はそうは言わない。最近やおら米国の属国論が世論を騒がせつつある現状から、最優先に自主「国益論」を主張したがる。
それは、明治近代政府が先進国として生きながらえてきたかを彷彿とさせる悲しいまでの「国益論」になっている。というのは、中東が駄目なら、南シナ海はどうだというのだ。先進国に嘗められても、アジアの国、とりわけ中国に嘗められては近代日本の独立はないかのごとくいきり立つ。
「テロ特措法」は南シナ海のシーレーンを守ると主張し始めたのだ。(続く)