防衛省・自衛隊の非常識

「あたご」 衝突は避けられたかも

【3月2日政治ニュース】 イージス艦「あたご」衝突事件は、既に事件発生から2週間近く経ち、新聞、テレビは連日連夜、「あたご」の衝突原因究明についてのニュースを伝えている。
事故当事者、関係者ならびに国民への防衛省の説明は、一番知りたい原因を捜査中と封印して、その代わりに防衛省の隠蔽体質ばかりがあかるみに出てくるという結果に終始している。
まさに、政争の具になってしまったイージス艦「あたご」衝突事件と化している。
[政治ニュース]は、「あたご」衝突事件について、「2月24日お粗末を絵に描いた民間への衝突」のタイトルでその背景を糾弾した。今回は、船舶に関して全く何の知識も持たない[政治ニュース]からの大胆な見解、「回避義務違反」について言及する。
3月2日毎日新聞は、「特集:海自イージス艦・衝突事故 「あたご」遅れた回避行動」、「図説:イージス艦「あたご」衝突事故」を掲載している。これまでの報道を時間経緯の基に入念な説明記事に仕上ている。記事の紙面から、今回の政治ニュースの見解に関わる内容だけを抜粋して紹介する。

◇船の位置により異なる回避航法
『海難事故の原因究明・責任追及では、監視体制と回避行動がポイントとなる。海上衝突予防法は2隻が接近して衝突の恐れがある場合、船の位置により衝突回避の航法を定めている。双方の回避義務や衝突の予見性などが過失認定の前提となる。
船舶は左舷に赤灯、右舷に緑灯を付けている。2隻の針路が交差する「横切り船航法」では、他船の赤灯を右方向に見る船が右転などで避けなければならない。左方向に緑灯を見る船は針路、速力を保持するのが原則だ。正面に向かい合う「行き会い船航法」なら、両船に右転による回避が義務付けられている。
複数の船舶が関与する状況などでは、それぞれ最善の回避行動をとる「船員の常務(シーマンシップ)」が求められ、左転を含めあらゆる回避行動をしなければならない。同法は右転は1回、左転は2回、後進なら3回など汽笛による信号も義務付けている。相手の意図や動作に疑問がある時は、汽笛を5回以上鳴らさなければならない。加えて同じ回数の閃光(せんこう)で知らせることもできる。
今回は横切り船航法とみられ、あたごに右転などによる回避義務があった可能性が高い。清徳丸の僚船はいずれも、あたごの汽笛を聞いていない。一方、あたごの艦長は汽笛などで異変に気付いたと主張している。』
◇手動全力後進
『■午前4時6分=緑の明かりが速度を上げて動いた。ようやく見張り員は漁船と気づいた。艦橋で当直士官が全力後進を命じる。あたごは自動操舵から手動に切り替え、全力後進をかけた。』
◇艦首が直撃
『■午前4時7分=あたごの前方約100メートル。清徳丸が大きくかじを右に切った。あたごは止まらない。清徳丸は死角に入り、乗組員の視界から消えた。』(2日毎日新聞)
[政治ニュース]は、事故が回避できたのではないかとの素朴な見解をふと考えるに至っている。つまり、「回避航法」による「横切り船航法」と「汽笛信号義務」を最大限基本中の基本と考えて、今回の当直仕官の「手動全力後進」の事故回避判断は間違っていたとみる見解だ。つまり、当直仕官は急ブレーキをかけるという、芸のなさを判断した。あらゆる事故に言えると思うが、とっさの一瞬の判断が重大事故を引き起こす。
「あたご」は「手動全力後進」ではなく、「汽笛信号と右転回避」を優先していれば事態がまた変わっていたかも知れない、という仮定だ。また、素朴に「横切り船航法」に基いて右転回避することにためらいを感じることがあったとしたら、それは総じていえることだが、経験のなさが全てを物語っている。
最新ハイテク軍艦を操る海自は、シミュレーション・ゲームに基づいて模擬演習に明け暮れている。海自は見えない敵をレーダーで補足できても、見える現実の目先の危険には老眼状態になっていたのだろう。
現実の危険回避術は、防衛省改革とやらをいくらやっても、自衛隊員の老眼状態は改善されない。というのは、日本政府、防衛省、自衛隊の本来任務、日本の国土と国民を守る視野調整のピントがずれてしまっているからだ。穿ちすぎかもしれないが、日本政府は防衛省、自衛隊員を守っているとしか考えられない。