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2008年03月05日

セルビア・コソボ 再び内戦か 23

コソボは米英国の「かいらい国家」なのか 4
米英国はいつも国際コンセンサスを破る


【3月5日政治ニュース】コソボ北部には約4万人のセルビア系住民が居住しているといわれ、コソボ独立宣言後、北部の町で数千人規模のデモが連日起きていると伝えられている。
独立宣言にともなってセルビア政府の具体的な主張に領土問題がある。
2月27日毎日新聞は、領土問題をめぐって両首相の主張を紹介している。



『<コソボ>首相「領土で妥協せず」…セルビアの動きけん制=セルビアからの独立を宣言したコソボからの情報によると、サチ首相は26日、「領土の完全性について妥協しない」と報道陣に述べ、コソボ北部のセルビア系住民地区にセルビア政府が影響力を及ぼそうとする動きをけん制した。同地区では連日、コソボ独立反対のデモが続いており、国連や欧州連合(EU)の職員は安全上の理由から一時的に撤退している。

 サチ首相の発言に先立ち、セルビアのコシュトゥニツァ首相は25日、「セルビア政府は、忠実な市民がいるコソボの一部を支配する意向がある」と述べた。コソボ北部には約4万人のセルビア系住民が居住。北部の町コソブスカミトロビツァでは連日数千人規模のデモがあり、警官隊との衝突が散発的に起きている』(ベルリン小谷守彦=2月27日毎日新聞)

国連安全保障理事会において、ロシアは、国連が独立宣言を無効とするよう主張したが、米欧は「独立しか有効な選択肢はない」とする声明を発表して協議は物別れに終わっている。これに対して、 ロシアは「国連とセルビアの間に、コソボの地位は一方的に変えられないという合意がある」として、独立宣言を国際法違反と指摘している。

実は、欧州連合(EU)の国際法に詳しい専門家筋のあいだでは、コソボ独立は「国際法違反と指摘」する声が多い。3月1日毎日新聞は、自社専門編集委員がパリの国際政治学者と意見交換したそのレポートを掲載している。



『グローバル・アイ:コソボ独立 「国境」戦後合意にゆらぎ=パリに出張し、知り合いの国際政治学者の何人かと意見交換しているが、話はホットなコソボ独立問題になる。目と鼻の先のバルカン半島が不安定化すれば、欧州が深刻な影響を受けるのは90年代に実証ずみである。

 コソボ独立でフランスの学者が抱く関心は2点ある。独立を支持した米国と、英、フランス、ドイツなど欧州主要国は、国際政治社会の戦後合意である「国境の一方的変更はしない」ことを破り、国際政治に不安定要素を持ち込んだのではないか。2点目はロシアがどう出るかである。

 第二次世界大戦末期のヤルタ会談で、戦後秩序が確定されて以降、全欧安保協力会議(CSCE)などを通じて「当事国の同意なくして国境線の一方的変更はしない」ことが国際政治社会のコンセンサスとなってきた。

 力や数を頼んでの国境線の一方的変更が、国際紛争の原因となってきた歴史の教訓でもあった。国境線の変更の中でも、東西ドイツの統一(90年)、ソ連邦の解体(91年末)、チェコとスロバキアの分離(93年)が認められたのは、当事国の同意があったからである。

 しかしコソボ独立は、コソボを抱える当のセルビアが強く反対しているにもかかわらず米国と欧州主要国が支持し、強行された。米欧は「セルビアによるコソボ抑圧が独立の遠因をなしており、今回は例外的ケース」と主張するが、ロシアは「戦後合意の一方的破棄」と非難し、欧州連合(EU)も一枚岩でない。

 スペイン、ルーマニア、スロバキア、キプロスなど、国内に少数民族の独立運動や合併問題を抱える国は、コソボ承認を留保している。「国境の一方的変更」がブーメランとなって突きつけられる可能性があるからだ。

 今後のロシアの出方では学者に二つの意見があった。チェチェンなどをかかえ、ロシアは「国境線の不変更」の立場を堅持せざるを得ないという見方と、ロシアが「米欧による国境線の一方的変更」を逆手にとって、これを政治的ツールとして利用することである。

 「コソボ独立でロシアのとれる対抗策は限られている。ただ大国志向のプーチン大統領は、ロシアの威信を示すために手をこまねいてはいないだろう」。こう語った学者は、グルジアのアブハジアや南オセチア、ウクライナの東部地方など、親ロシアに傾斜するこれらの地域を、ロシアが「民族自立」の名目で併合する可能性に触れた。

 「国境線の一方的変更はしない」という戦後合意を揺るがしかねないコソボ独立が、国際政治に与える影響は決して小さくない。(西川恵=専門編集委員=3月1日毎日新聞)