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2008年03月12日

イラク 開戦から5年 1

【3月12日政治ニュース】米国新保守主義(ネオコン)グループ・ブッシュ政権のイラクに対する先制攻撃型集団的自衛権が発動されてこの20日でまる5年になる。
イラク開戦後の当局による検証結果で、米国の先制攻撃の理由は全てCIAと国防省のでっち上げによる間違った戦争であったことが立証され、既に世界の常識になった。また、先日、国防省は、処刑されたフセイン大統領とアルカイダとの関係が皆無だったと公表した。
要するに、全て憶測、捏造、言いがかり、いちゃもんをつけて開戦に踏み切ったことを米国自ら公表したことになる。理由は出尽くしたわけだ。
にも拘らず、米国は理由なきイラク戦争を継続さらに増派している。開戦から5年は、米国の非常識は世界のスタンダードに完全に定着させた、恐るべき時代に変質させた5年だといえる。

いや、もっと恐るべき事態にいまさらながら驚愕することがある。米国の有志連合国のどの国も、明白な間違った戦争と米国自ら告白しているのにこのことの理由で撤退を表明しない。
視点を変えれば、先制攻撃型集団的自衛権にお墨付きを与えるというトンデモナイ歴史の始まりを容認したことになる。この世界的状況で事実と理性の検証は、今後どれだけ世界史に役立つかは到底想像の及ばない、私たちの手の届かない別途範疇になると考えざるを得ない。
しかし、毎日新聞は「混迷イラク:開戦5年に聞く」というタイトルで当時の関係者の取材からイラク戦争の検証を試みている。

『混迷イラク:開戦5年に聞く/2 ジョン・ブラウン元米国務省職員
 ◇政権維持に戦争利用 反米感情高める結果に−−ジョン・ブラウン元米国務省職員(59)

−−イラク攻撃直前の米国務省の空気は?
◆この戦争は素晴らしいという同僚は一人もいなかった。私が戦争に抗議して辞表を出したとき、同僚たちから数百通もの支持の電子メールが送られてきた。

−−なぜ米国は戦争へ突き進んだのですか。
ブッシュ大統領自身、国際的なことにほとんど興味を持たず、知識もなかった。ホワイトハウスの取り巻き連中の関心は常に国内問題だった。つまり、共和党政権をどうやって維持するかが最大の関心事だった。02年11月の中間選挙に勝つために、取り巻きたちは大統領を強い指導者に見せかける必要があった。そのためにイラク危機を利用したのだ。

−−政治家や国民も反対できなかったのは?
◆米同時多発テロ(01年9月11日)後しばらく、米国民は正常な思考ができなかった。「フセイン政権は大量破壊兵器を保有しており、テロリストに渡すかもしれない」と大統領が語ると、反対は難しかった。だが、今では多くの国民が大量破壊兵器保有情報がイラク侵攻の口実に利用されたことを知っている。

−−政権は侵攻後のイラク混乱を予想していなかったのですか。
◆政権幹部はこんな結果になるとは全く予測していなかったはずだ。簡単に考えていたのだ。中東に関する無知ゆえだ。米元外交官のピーター・ガルブレイス氏は著書の中で、ブッシュ大統領がイラクにイスラム教のシーア派とスンニ派の2宗派があることを知らなかったと暴露している。
ブッシュ政権には外交感覚のある人物は見当たらない。父のブッシュ元大統領も国際感覚に疎かったが、ジェームズ・ベーカー元国務長官ら外交に強い人物を要所に配した。今の政権にはそうした人物もいない。

−−外交への影響は?
◆世界中で反米感情を高めてしまった。「米政府が世界戦略としてグローバリズムを使っている」という反発があったところに、イラク戦争によって米国のイメージは決定的に低下した。イラクのアブグレイブ刑務所での収容者虐待や拷問が影響しているだろう。
イラク戦争を遂行する必要上、米政府はウズベキスタンパキスタンなどの独裁政権と手を結んだ。経済やエネルギー分野での近視眼的な利益追求のために外交をするから独裁政権を支援することになる。米国はもっと長期的な広い視野で外交をする必要がある。イラクはそれを教えている。【聞き手・ワシントンで小倉孝保】=つづく
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■人物略歴 ◇ジョン・ブラウン(John Brown)
米ボストン生まれ。プリンストン大大学院で博士号(ロシア史)取得。03年3月10日、イラク戦争に抗議して国務省を退職。辞職文に「なぜ、多大の犠牲を払ってイラクに侵攻する必要があるのか」「侵攻は反米の世紀を作る」と書いた。現在、ジョージタウン大外交研究所上級研究員。』(3月12日毎日新聞)



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