「チベットは目覚ましく発展し安定している」か
【3月15日政治ニュース】先日、映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏は、北京オリンピックのアーティスティク・アドバイザーを辞退したとマスコミが報じた。中国政府がスーダンのダルフール問題、集団虐殺等の紛争に協力していることに抗議しての決断だと伝えられた。
既に20万人以上が紛争のために死亡して、村を焼き討ちされ住処をなくした住民は300万人に達すると伝えられている。その紛争に中国政府は、スーダンの天然資源の輸入の代わりに武器を提供している。国際的には、国連安全保障理事会の常任理事国として、拒否権を発動して国連の対応策を妨げている。
スピルバーグ氏の抗議主張はこうだ。
『スーダンの状況は悪化している。私は再三、中国政府にダルフールに平和と秩序をもたらすようにお願いしてきた。私はオリンピックに時間とエネルギーを費やすより、ダルフールで行なわれているような、言うに堪えないほど非人道的な事態を終わらせる事に努力したいと思う』
3月11日、マラソン界のスーパースター、世界記録(2時間4分26秒)保持者のハイレ・ゲブレセラシェ(34、エチオピア)は11日、「北京の大気汚染のため、8月の五輪マラソンを欠場する」と宣言した。さらに、この発言に誘発されて、女子の世界記録保持者ラドクリフ選手も参加を検討すると発表した。
社会を取り巻く政治、環境面において、本来であれば熟成されつつある社会、国家の象徴的イベントであるはずのオリンピックが、このような衝撃的事態を招くことは異常である。
訝しく思いながらの北京オリンピックの準備がここ数年急ピッチで行われてきたが、会期が近づくにつれて準備の膨脹と現実にかなりの歪みが生じ始めてきたようだ。
先週、北京では全国人民代表大会(全人代)が開催中だった。そして、チベット自治区の代表者らが「チベットは目覚ましく発展し安定している」と強調したいつものセレモニーを行っていたが、その矢先、チベット自治区で僧侶らを中心とする北京オリンピックボイコット抗議活動のニュースが世界を駆け巡り、胡錦濤指導部に衝撃を与えた。抗議活動に対する中国政府の弾圧がここにきて抗議者の多数の死亡者を出す事態を招いてしまった。
3月15日毎日新聞はチベットでのチベット仏教僧抗議運動の模様を伝えている。
『チベット:暴動で「死者80人」情報も 滞在日本人ら保護=中国チベット自治区の区都ラサで14日発生したチベット仏教僧らによる大規模な暴動で、国営新華社通信は15日、「10人の死亡が確認された」と報じた。暴動は14日夜に沈静化し、市内は平静を取り戻したという。一方、米政府系の「ラジオ自由アジア」は、ラサ市民の話として死者数は80人以上に達するとの見方を伝えた。地元武装警察は日本人旅行者3人含むラサ滞在中の外国人580人を保護した。日本人を含む外国人に負傷者はいないという。同自治区政府のシャンパプンツォク主席は15日、「これはテロだ。われわれは(人に向けて)発砲してない」と語り、武力鎮圧を否定した。新華社によると、当局者は「地元警察は武力を行使しないよう命じられたが、デモ隊を解散させるためにやむを得ず一定量の催涙弾を発射し、威嚇射撃を行った」と述べた。
ラジオ自由アジアによると、ラサ市内には暴動鎮圧のために数百の装甲車両が出動し、群集に向かって発砲したという。市民の一人は「あちこちで衝突があり、死者数は80人以上に達するのではないか」と証言したが、詳細は不明だ。
新華社によると、死亡したとされる10人は「いずれも罪のない市民で焼死した」という。ホテル従業員、商店主の各2人が含まれている。犠牲者はチベットで活動する漢族の可能性がある。僧侶については触れていない。
新華社によると、自治区当局者は動乱について「ダライ・ラマ一派が組織し、念入りに計画、画策したという十分な証拠がある」と指摘し、インドに亡命中の同仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の支持者らが起こしたと断定した。
中国当局は8月の北京五輪への影響を最小限に抑えるため、早期に事態収拾を目指す構えだ。だが、首謀者を「ダライ・ラマ一派」と指摘したことで、ダライ・ラマ支持者が反発を強めそう。僧侶や市民を一層刺激する可能性もある。
新華社によると、自治区当局者は動乱について「ダライ・ラマ一派が組織し、念入りに計画、画策したという十分な証拠がある」と指摘し、インドに亡命中の同仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の支持者らが起こしたと断定した。
中国当局は8月の北京五輪への影響を最小限に抑えるため、早期に事態収拾を目指す構えだ。だが、首謀者を「ダライ・ラマ一派」と指摘したことで、ダライ・ラマ支持者が反発を強めそう。僧侶や市民を一層刺激する可能性もある。(北京・大谷麻由美=3月15日毎日新聞)(続く)

