セルビア・コソボ 再び内戦か 30
再び内戦か
【写真】放火され炎上する国連車両=コソボ北部ミトロビツァ市内【3月19日政治ニュース】 コソボ北部ミトロビツァのセルビア人居住地区では、連日のように抗議活動が活発化している。十四日には約三百人のセルビア人が国連の裁判所に侵入、建物を占拠したと報じられた。また、それを受けて国連の警官隊と国際治安KFOR部隊は、「裁判所奪還作戦」に備えて建物を装甲車で包囲したという。週末、交渉が決裂、セルビア系住民と国際治安部隊の衝突に発展し、コソボ国際治安部隊(KFOR)に負傷者が出たと伝えられた。
17日CNN通信は、衝突により死傷者がでた模様を伝えている。
『コソボ北部から国連部隊退避 セルビア人との衝突受け=アルバニア系住民とセルビア系住民の分断が続いているコソボ北部ミトロビツァで17日、セルビア人の攻撃で、国連の治安部隊や北大西洋条約機構(NATO)指揮下のコソボ国際治安部隊(KFOR)に負傷者が出た。これを受けて国連は、部隊を退避させていることを明らかにした。
コソボの首都プリシュティナで国連関係者が報告内容として語ったところによると、国連部隊とKFORは、先月17日のコソボ独立宣言に抗議するセルビア人らが先週ろう城した裁判所に踏み込み、中にいるセルビア人らを強制退去させる作戦を実施したが、銃撃を受けたり、手投げ弾を投げつけられるなどの攻撃を受けた。
AP通信によると、続いて騒乱が発生し、少なくとも国連車両1台とNATOのトラック1台が放火された。複数の目撃者は、数人の抗議行動参加者や警官が負傷したと語った。
国連部隊は今後も、ミトロビツァの入口数カ所で検問にあたるとしている。』(3月17日CNN通信)
共同通信が伝えるところでは、『地元警察によると、衝突による国連暫定統治機構の警察官の負傷者は100人以上に達した。またセルビアのメディアによると、セルビア系住民側の負傷者も約100人という。』
この事態は、単なる抗議による衝突というものではなく、明らかに内戦の予兆である。また、
セルビアのタディッチ大統領は13日、欧州連合(EU)への加盟交渉をめぐり連立内閣が崩壊したことを受けて、5月11日に総選挙を実施すると発表した。セルビア民主党と極右民族主義派政党が有利といわれ、欧米が支持する民主派が政権を維持できない事態が予測される。
つまり、コソボ独立の協議テーブルが遠退く結果を招く。さらにこの事態は、現在、独立を承認しているのは27カ国(うちEUは16カ国)だが、今後の承認国に陰りをもたらすことになる。コソボはイスラム教徒が多数を占めるが、イスラム教国の承認はマレーシアだけというのも意味深だ。
この状況は独立宣言を出したものの、世界が承認する独立国家の体裁には程遠い現実だ。
セルビア政府は5月11日に総選挙を実施する。その結果次第ではEU加盟方針を撤回するだろう。そうなれば、さらなる事態の深刻さは当然の現実になる。セルビア政府は、武力によるコソボ独立問題解決は避けると断言しているが、錯綜、混迷の結果は内戦の予兆を現実化させる恐れがある。
【予告】
【政治ニュース】サイトは、3月31日をもって更新ならびに配信を中止することになりました。従って、コソボ独立問題について言及する時間も限られてきました。今後の成り行きを大きく左右する総選挙は5月11日です。残念ながら【政治ニュース】の具体的見解を述べることができません。
時間の許す限り、コソボ独立問題が及ぼす、日本の国際人道復興支援のありようと問題点について言及します、ご了承ください。
日本は、コソボ空爆は「国際法的に違法であっても道義的に正しい」という「人道・道義」を強調した「人道的介入」、「正義の戦争」論に納得した。空爆の是非論争は、仮死化した平和主義者の成れの果てとして、恥ずべき左翼だと批判される怖さ現象を醸し出した。
イデオロギーの終焉である。そして3月17日、日本はコソボを独立国として承認した。
「人道的介入」による民族自決を基盤にした独立のシナリオは、道義的にあるべき歴史として決着させたが、これをもって、日本政府は、国際平和維持活動の正当性と必要性を国民に納得させたと自信をつけた、さらに、国民も自衛隊の必要性を完全に理解した方向性が出来上がったと在日米軍再編の正当性を暗に主張することになった。
実は、コソボ独立問題は、日本の国際平和維持活動、人道復興支援の今後の占いになる試金石の意味もあるのだ。(続く)