パキスタン大統領選 47
【3月26日政治ニュース】 ザルダリ氏は苦肉の策で急場をしのぐ戦略でムータヒダ民族運動(MQM)の代表ギラニ氏を新首相に選出した。人民党の分裂回避を考慮してのもので、ファヒム人民党副総裁派の離脱を防ぐのが目的である。避けなければならない展開は、イスラム教徒連盟ナワズ・シャリフ派に第1党の座を奪われることだ、致命傷となる。また、虎視眈々とシャリフ派はその事態をうかがっている。それだけザルダリ氏人民党とシャリフ派は犬猿の仲なのだ。
人民党とシャリフ派とは国策に埋めがたい隔たりがある。既に、両党首脳が一致した「チャウダリー前最高裁長官の復職」も、人民党は消極姿勢になっている。また、外交、特に米国との関係では、「テロとの闘い」に対して人民党は継続姿勢で、シャリフ派は見直しを掲げている。今後の展開は、両党の関係悪化で分裂に転じることも十分考えられる。
25日の毎日新聞は、この現実を伝えている。
『パキスタン:新政府は「米国主導のテロ対応を見直す」=ネグロポンテ米国務副長官は25日、パキスタンを訪れ、連立政府の一角「イスラム教徒連盟ナワズ・シャリフ派」総裁のシャリフ元首相と会談。シャリフ氏は会談後、「新政府は(米国主導の)対テロ戦争の対応を見直す、と米側に伝えた」と明かした。ムシャラフ大統領が行ってきた武力弾圧路線の見直しを意味する。
だが、新政府を主導するパキスタン人民党は、故ブット前総裁の政策である「対テロ戦争の継続支援」を確認している。シャリフ氏の発言は大統領の支持政党を連立政府に受け入れた人民党へのけん制とみられる。』(3月25日毎日新聞=ニューデリー栗田慎一)
ギラニ新首相を擁立した連立政権だが、ザルダリ氏は5月の下院補欠選挙に立候補して首相の座を目指す、新首相はそれまでの暫定首相といわれている。そこでファヒム人民党副総裁の動きが注目される。というのも、ファヒム氏はムシャラフ大統領と良好な関係にあるといわれ、権力構図は依然、三竦み状態で推移する宿命にある。
26日毎日新聞は、パキスタン新政府の連立の前途多難な模様を伝えている。
『パキスタン:「寄り合い」政権、船出難航 対立抱え、閣僚指名見送り=パキスタン新首相に選出されたギラニ氏は25日、ムシャラフ大統領に就任宣誓した。だが、予定された主要閣僚の指名は、連立政府内の足並みの乱れから見送られた。中核の旧野党勢力は「反大統領」を表看板に掲げるものの、旧与党も加えた「寄り合い所帯」が実態で、大統領への圧力にも微妙な影響を与えそうだ。
連立政府を構成するのは、暗殺されたブット元首相の夫ザルダリ氏を共同総裁とする「パキスタン人民党」▽シャリフ元首相率いる「イスラム教徒連盟ナワズ・シャリフ派」▽ムシャラフ大統領を支持する旧与党「ムータヒダ民族運動(MQM)」の3党。旧野党の人民党とシャリフ派は90年代に激しい政権争いを展開。政策も党是も違う両党が連立を組んだのは、いずれも国会議席の過半数を得られなかったためだ。
第1党の人民党も一枚岩ではない。ブット氏暗殺後に党執行部入りしたザルダリ氏と、これを快く思わないファヒム副総裁が対立。同氏は大統領の権力基盤である軍部とのパイプを持ち、「大統領との良好な関係」を保つ姿勢を見せている。
強硬な反大統領派であるシャリフ派との連携で党内が分裂することを恐れたザルダリ氏は、MQMを連立政府へ招くことでバランスをとった。だが、逆にシャリフ派との関係はぎくしゃくし、25日の閣僚指名もMQMへのシャリフ派の反発が原因で流れてしまった。
ギラニ新首相は24日、ムシャラフ大統領の非常事態宣言で自宅軟禁されていたチャウダリー前最高裁長官の解放を指示。同氏が復職すれば、憲法規定に反して昨年10月に大統領に再選されたムシャラフ氏は窮地に追い込まれると見られている。しかし、MQMの政権参加などによる足並みの乱れは、チャウダリー氏の復職問題にも影響を与える可能性もあり、新政権の行方はなお不透明だ。』(3月26日毎日新聞=ニューデリー栗田慎一)
【予告】
【政治ニュース】のカテゴリー「パキスタン大統領選」で、これまで07年10月18日の「ムシャラフ政権の行方 ブット氏帰国」から47回にわたりニュース記事を掲載してきました。しかし、既に予告したように31日をもって更新が途絶えます。
実は政治展開としては、これからが興味深い連立三竦み合戦が繰りひろげられ、パキスタン人民の政治に対する思いと政府の政治センスが如実に語りだされます。今後の興味深い政治展開をお伝えできないのが残念ですが、ご了承ください。
31日更新最終ページで、カテゴリー「パキスタン大統領選」について言及したいと考えていますが、恐らく47回をもって最後になります。
皆様には、その後の展開、連立政権の混迷状態は、何処の国も同じ昏迷を呈する現実を確認、注目して頂き、日本の連立しかない不幸な政治状況をとくと鑑み、それでも展望を見出してもらいたいと切に願っています。