痛い政治ニュース

2010年 痛い政治ニュース 速報版

イラク 開戦から5年

イラク 開戦から5年 6


日本の詐欺集団・有識者の身の保全

【3月21日政治ニュース】イラク戦争は、日本にとって戦後、敗戦国のイメージを払拭させる、米国、欧州連合の主導する世界への参入を決定づける戦後最大の日本史に逆行するイベントと位置づけられる。特に、戦後60年を経て、自衛隊は国民的組織に完結した。

2003年のイラクへの自衛隊派遣は、戦後初めて米国の後方支援として海外にでた、真っ向から憲法に違反した軍事行動となった。
当然、賛否両論渦巻くなかで、常に自衛隊のイラク派遣についてどう思うかが国民的関心を呼んできた。そこで、対談の最後の項目は「自衛隊のイラク派遣はどう思うか」について各氏の見解を問うている。



「自衛隊:自衛隊のイラク派遣はどう思うか」

酒井氏
『イラク南部サマワへの自衛隊派遣は「参加することに意義がある」五輪のようなものだ。住民もさほど失望せずに終えられラッキーだった。ただなぜ歓迎されたかといえば経済復興を期待したからだ。経済支援が止まれば全く意味のない派遣だ。支援ではイラク国外でできることはある。トレーニングもそうだ。排除された旧政権のテクノクラートや、国内で経験が不十分な官僚も再訓練が必要だ。将来への投資だ。』



岡本氏
『事件は03年11月で、そのころまでイラク民主化の窓は開いていた。あの時点にまで戻したいが、何年もかかる。成功のショーケースが増えれば変わる。思い切って日本からも支援要員が行ってみたらいい。着実に進んでいるのを市民に見せることが大事だ。自衛隊派遣は人道支援、復興開発で良かったが、危険な治安維持には手を染めないで、他国の軍に守ってもらった。このような形はいつまで続けられるか。日本は日米同盟以外の選択肢はない。あなたがしでかしたことの巻き添えで、日本の信頼が落ちている、というのは米国に対し日本として十分申し立てていい。対米政策が対イラク貢献策の一つだ。』



藤原氏 
『自衛隊の派遣は非常に中途半端だった。二つしか選択肢はない。戦闘と治安維持に軍隊として参加するか、政府づくり、復興でかかわるかだ。しかし、その間のところでかかわった。ただ兵隊を送れば良かったのか。戦争を起こさないために日本は何ができたのか。独仏のように公言できる立場にはない。ユーロがあり米軍に頼る割合が減った欧州と違う。しかし北朝鮮問題の方が深刻だと、もっとはっきり伝えることができたはずだ。』



これが日本の識者といわれる方々の発言だ。3者とも何とも言えぬ空虚な当事者意識のない自衛隊派遣論だ。酒井氏の「参加することに意義がある」五輪のようなものだ」、岡本氏は「日本は日米同盟以外の選択肢はない」と断言する。藤原氏に至っては、せめてもの慰めにもならない言い訳はみっともない。

毎日新聞は、このような行政人間の泣き言、言い訳論しか発言できない識者とやらの対談を企画して何を提示しようと思ったのか、その真意を理解できない。
毎日新聞は、この対談が、日本全体がイラク戦争に関わった責任と検証を全く棚に上げたような結果しか招かないことも理解できない状況にあるのだろうか。総じて日本のマスコミ全般の問題であるとすれば、もはや救いようのない言論社会になっていることの証でしかない。

イラク 開戦から5年 5


日本の詐欺集団・有識者の身の保全

【3月20日政治ニュース】 19日、イラク戦争の首謀者の一人、 ブッシュ米大統領は開戦5周年にあたり国防総省で演説をした。大統領は「フセイン元大統領の追放は正しい決定だった。これは米国が勝たなければならない戦いだ」と、改めて正当性を主張した。
また、チェイニー副大統領は、米国CNN記者のインタビュー「アメリカ人の3人に2人が反対している戦争に正当性があるのか」との質問に、「世論に関係なく、正しい軌道から外れることはできない」と、これまた正当性を強調した。



【政治ニュース】で何度となくチェイニー副大統領仲間の新保守主義グループの常軌を逸した世界観を糾弾してきたが、イラクの実態がここに至っても世界に向けて「自分たちは正しい」のだと主張する歴史空間は、まさに、一部選民された集団が歴史を牛耳る権利があり、それが一般民衆に生活権を与えていると考えている。
インタビューで「現在、ほとんどのアメリカ人はイラク戦争に反対している」との質問に、「それが、どうした」と挑発的に応答するネオコン代表、チェイニー副大統領、あっけに取られて言葉を失う記者がテレビで流されていた。日本の諺の「気狂いに刃物」そのものの人間が世界を又に掛けめぐる、空恐ろしい限りだ。



19日各紙は、イラク戦争5周年特集記事を掲載している。[政治ニュース]は13日から毎日新聞の特集記事を紹介、言及してきた。19日の毎日新聞は、とりわけ全2面を使って日本とイラク戦争に焦点をあてて、これまでの経緯と係わりを検証する特企記事を掲載した。
その一面が「識者座談会」によるイラク戦争の検証だ。
座談会の出席者は、
岡本行夫岡本行夫氏(外務省で北米第1課長。91年退官後、岡本アソシエイツ設立。03年に首相補佐官(イラク問題担当)。著書に「砂漠の戦争 イラクを駆け抜けた友、奥克彦へ」)



藤原帰一藤原帰一氏(東大助手などを経て現職。専門は国際政治学。著書に「戦争を記憶する」「デモクラシーの帝国」「『正しい戦争』は本当にあるのか」「戦争解禁」など)

これまでイラク問題でテレビ等によく顔を出していた識者3人だ。タイトル別に司会者が見解を質すかたちで行われたものを掲載している。対談記事は長文であるため、関連サイトで全内容を確認してもらうとして、この紙面では各自の発言内容の検証に留める。



先ず、「開戦:イラク戦争は誤りだったのか」について
岡本氏、『私は当初から戦争することはなかったとの立場だ。だが始まった以上、米国を支持するより仕方がない。・・・・大量破壊兵器を持っている(と推測された)し、国連決議違反もある。やむにやまれなかったとの複雑な気持ちだ。』
岡本氏は開戦当時、イラク問題担当者として首相補佐官を務めていた。当時テレビ出演等では、小泉前首相のブッシュ政権イラク開戦をいち早く全面支援を発表したことを正しい日本の選択だとその正当性をアピールしていた。岡本氏の『私は当初から戦争することはなかったとの立場だ。』という発言をどの紙面からもみることがなかった。結果論で自己正統性を根拠づける発言は、偽善者の典型的な詐欺発言である。

『だが始まった以上、米国を支持するより仕方がない。』発言は、始まる前の戦争回避発言ならびに渦中を全く無視した首相補佐官として無責任極まりない、阿呆発言の何ものでもない。

 藤原氏も然りだ。『これはしてはいけない戦争だった。イラクで死人が出る問題だけでなく、米国の対外的な影響力も、それに支えられている安定も壊れた。』とは、開戦当時、声高に「この戦争はしてはいけない」など聞いたことがなかった。今頃何を言っているのか。日本が米国追随政策しか取れないことを内外に知らしめて、51番目の属国だと国際社会から著しく辱めを受けているのに、どっちを向いて発言しているのだ。いやしくも教育の場で正論を論じている公僕ではないのか。

酒井氏も可笑しな発言をする。『大量破壊兵器があると主張されたが、当初から国連で疑義が伝えられた。正当性に満ちた戦争ではない。』
としたら「正当性に満ちた戦争」などあるのか。



「占領:占領政策についてどう評価するのか」

岡本氏は『戦後処理によってはイラクを民主化することも可能だった。戦闘終結から半年は窓が開いていた。米国は愚かな失政で安定化の好機を逃し、状況を悪化させた。無残な格好で混乱をもたらした責任は大きい。』と占領政策について発言している。
全く恥知らずな発言だ、何様のつもりか有識者のいうことか。



「米軍増派で治安は良くなったか」

酒井啓子酒井啓子氏(在イラク日本大使館専門調査員、アジア経済研究所を経て現職。専門はイラク政治史。著書に「イラク 戦争と占領」「イラクはどこへ行くのか」など)

お粗末極まりない両者の発言には呆れてしまう。その点、酒井氏の発現はやや真ともな見解だ。
岡本氏、『増派は効果があった。それ以上にペトレアス・イラク駐留米軍司令官に注目している。北方4県で住民対策に意を用いて成功した人が、全体を指揮している。』

藤原氏、『増派で安定した、というのは米国では疑う余地のない議論だ。そうなると撤退を検討する際、「減らしたら不安定になる」という面倒な論理が出てくる。』(3月19日毎日新聞)(続く)



政治ニュースの関連サイト

イラク 開戦から5年 4


イラクの壁【写真】バグダッド中心部ではテロリストの攻撃に備えコンクリート壁が建ち並ぶ。猛スピードで駆け抜ける米軍車両にカメラを向けると銃で狙ったと勘違いされかねず危険だ=13日、フィルドス広場で

バグダッド防護壁の意味するもの

【3月17日政治ニュース】 「3月12日政治ニュース」において、20日でまる5年になる米国のイラク侵略戦争について、毎日新聞は「混迷イラク:開戦5年に聞く」というタイトルで当時の関係者の取材インタビュー特集を掲載し始めたと紹介した。
その毎日新聞は15日から現地での記者取材による5年後のイラク現地レポート特集の掲載を始めた。
タイトルは「戦争のつめ跡:5年後のイラク」である。そこで、【政治ニュース】は両方の特集から認識を新たにしなければならない事実、歴史を再考する。

3月15日毎日新聞、「戦争のつめ跡:5年後のイラク」(その1)、「防護壁が囲むバグダッド 敵意の海、浮かぶ要塞」を紹介する。



 

『イラクの首都バグダッドは、コンクリート壁が建ち並ぶ要塞(ようさい)都市に変わり果てていた。20日でイラク開戦から5年。政府施設が集中し、最も治安が安定するグリーンゾーンの上空には、テロリストやスナイパー(狙撃手)を警戒する米軍ヘリが飛び交う。米国は07年1月、バグダッドを中心に3万人の部隊増派を決定、「増派は成功した」(ブッシュ米大統領)と強調する。だが、その実態は、まさに敵国の中に浮かぶ基地だ。力で抑え込んだ安定にすぎない。

 記者がバグダッドに入ったのは3年半ぶり。この間、北部クルド地域や南部サマワを取材したことはあったが、治安の悪化で首都に足を踏み入れることはできなかった。

 米軍施設や政府機関が集中するグリーンゾーン。その周辺でも、日に数回、迫撃砲と思われる爆発音や、ライフルの連射音が響く。だが、人々は驚く様子もない。これが「治安が安定」したグリーンゾーンの日常風景なのだと思い知らされた。

 レッドゾーンと呼ばれる市街地の様子を知りたい。11、13の2日間、思い切って市街地に出た。チグリス川を渡り、対岸のカラダ地区のほか、フセイン元大統領像のあったフィルドス広場、大壁画で有名なタハリール広場周辺などを歩いた。

 グリーンゾーンとの出入り口に車を横付けし、ドアが開くのを待ち飛び乗る。外国人が乗っているのが分からないよう、後部座席に体を横たえて移動した。同乗した警備員は、前後左右の車両だけでなく、スナイパーを警戒し付近のビルに鋭い視線を送る。助手の口数は少なくなり、車を止め、写真を撮ると「ダメだ。車に戻れ」と命令口調になった。

 最初に目に付いたのは、各省庁、米軍関連施設、各国大使館や政党の建物の防護用に設置されたコンクリート壁(高さ約2〜3メートル)だった。壁を撮影していると、突然、猛スピードで米軍車両が通過した。その瞬間、助手が叫んだ。「危ない。逃げろ」。カメラを銃と勘違いした米兵が、銃を乱射するのを恐れたからだ。

 米軍やイラク軍のジープ型の車、トラックがひっきりなしに、警笛を鳴らしながら猛スピードで市街地を走り抜ける。スナイパーやロケット弾攻撃の標的になるのを避けるためスピードは緩めない。

 タクシー運転手のアラア・ムハマンドさん(32)は「どれだけカネを積まれようと、今、米国企業で働けばテロリストに狙われ、すぐに殺される。(治安が改善したと強調する)米国は大うそつきだ。我々は、毎日、きょう一日、無事で過ごせるかどうかと、不安の中で生きているんだ」と訴えた。

 道路の傷みや歩道周辺の汚れも目立つ。バグダッド陥落直後に放火された政府ビルの多くもそのままの姿で、進まぬ復興状況を目の当たりにした。


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■ことば ◇グリーンゾーン

 イラク戦争でのバグダッド陥落後、首都中心部のチグリス川西岸に設置された米軍管理区域の通称。「インターナショナルゾーン」とも呼ばれる。面積約10平方キロ。周囲はコンクリート壁や鉄条網で囲まれ、多国籍軍が厳重警備する。かつてフセイン元大統領らの宮殿があった。現在はイラク政府庁舎、米大使館、ホテルなどが集中する。』[3月15日毎日新聞=バグダッド小倉孝保](続く)

イラク 開戦から5年 3


割を食ったのは貧乏な国民と決まっているが、結果、誰と誰が儲けたのか

【3月16日政治ニュース】 米国のノーベル経済学者がイラク戦争コストパフォーマンスを発表した。第2次世界大戦に次ぐ巨額戦費は、現在の米国経済の低迷にボディーブローとして効いている。
しかし、不況による格差、貧困問題をよそに誰かが儲けたことは事実だ。それはブッシュ大統領ネオコングループ、なかでもチェイニー副大統領ラムズフェルド国防長官ウルフォウィッツ国防副長官などが挙げられるが、基本的には、戦争を公共事業化しているハードとソフトの関連会社だ。彼らは戦争ほど手っ取り早い儲け口がないということを確信しているのだ。
利益の追求は認めるとしても、その為に殺される人間は堪ったものではない。破壊による利潤構築のメカニズムを破壊しなければ、永遠に戦争は続く。



3月11日AFP通信は米経済学者スティグリッツ氏の新著を紹介している。
『「イラク戦争コストは3兆ドル」、米経済学者スティグリッツ氏の新著=米国の著名経済学者、ジョゼフ・スティグリッツ(Joseph Stiglitz)氏は新著のなかで、米国のイラク戦費が少なくとも3兆ドル(約305兆円)に達するとの見方を示した。

 スティグリッツ氏は、今週発売のリンダ・ビルムズ(Linda Bilmes)ハーバード大学(Harvard University)教授との共著、『The Three Trillion Dollar War: The True Cost of the Iraq Conflict(3兆ドルの戦争:イラク戦費の真実)』のなかで、イラク戦争における米国の出費は、12年にわたったベトナム戦争をすでに上回り、朝鮮戦争の2倍以上に膨れ上がっていると指摘した。

「米国史上、イラク戦争の戦費を上回った唯一の戦争は第2次世界大戦だけだ。4年間にわたり1630万の米兵が戦った第2次大戦の戦費は2007年の貨幣価値でおよそ5兆ドル(約510兆円)に上った」、「第2次世界大戦でドイツおよび日本と戦った兵士1人あたりの費用は現在の貨幣価値で10万ドル(約1000万円)以下だった。対して、イラクでは兵士1人当たり40万ドル(約4070万円)以上が費やされている」(同書から)

 これについて米国防総省のジェフ・モレル(Geoff Morrell)報道官は「(スティグリッツ氏の著書の数字は)誇張されているように見える」と述べると共に、公開されていない戦費があるのではないかとの見方に不快感を示した。

 世界銀行(World Bank)のチーフエコノミストを務めたスティグリッツ氏は2001年にノーベル経済学賞を受賞している。共著者のブリムズ氏は財政学が専門のハーバード大教授。この書籍は米国のイラク開戦から丸5年を迎える前に出版された。』(3月11日AFP通信)

イラク 開戦から5年 2


出尽くしたでっち上げ先制攻撃の証拠

ブッシュ大統領の知能とボルトン前国務次官の判断が最悪のクレージー米国を狂宴する破目になった。12日に紹介した[政治ニュース]、「混迷イラク:開戦5年に聞く」の関連サイトで、初回のジョン・ボルトン、前米国連大使のインタビューで理解できることは、当時の米国の首脳陣は完全に知能麻痺性狂信判断集団と化していることがよく判る。

日本の正常性も疑わしいが、友好同盟国米国は当時常軌を逸した行動判断しかできない状況にあった。【政治ニュース】は何度となく、常軌を逸した悪い友好国と一日でも早く手を切らなければならないと警鐘してきた。しかし、もうそろそろその警鐘にも限界がきたようである。

しかし、懲りずに念のため、ジョン・ボルトン、前米国連大使のインタビューを抜粋掲載しておく。

ボルトン『−−フセイン政権転覆は正しかったと思いますか。
◆正しかったし、現在でも、その判断は間違っていない。フセイン(元大統領)はペルシャ湾岸や世界の平和と安定にとって脅威だった。だが、政権崩壊後の事態が私たちが望んでいたよりも良くなかったのは明らかだ。それは政権崩壊のせいではなく、アルカイダなどのテロ組織がイラクで無秩序状態を作った結果だ。

−−結果的にイラクはテロリストの拠点になったのでは?
◆フセイン政権崩壊でアルカイダのようなテロ組織がイラクに集中することになった。しかし、世界のどこかでテロリストと戦わねばならないのなら、米国や西欧で戦うよりイラクで戦う方がいいことは明らかだ。今、イラクでテロリストと戦うチャンスを得ているということだ。

−−しかし、イラク戦争は多大な犠牲を伴いました。
◆テロが中東全域や世界各地に拡大することによる犠牲と、イラク戦争の犠牲を比較する必要がある。もし、テロリストが核・生物・化学兵器を持ったら、もっと多くの犠牲が出るだろう。』

最早出尽くしたでっち上げ先制攻撃の証拠
3月12日時事通信は、米軍が作成したイラクとアルカイダ関係の報告書を紹介している。

『アルカイダとの関係なかった=旧イラク政権に関する米報告=米ABCテレビ(電子版)は11日、米軍がイラクの旧フセイン政権と国際テロ組織アルカイダには直接的関係はなかったとする報告書を作成したと報じた。
 これまでにも両者のつながりを否定した報告書はあったが、今回の報告書は、米軍が押収した大量のイラク公文書や旧フセイン政権幹部の証言を基にしたもので、最も包括的な内容という。
 ブッシュ政権は旧フセイン政権とアルカイダのつながりを対イラク開戦の大義名分の1つとして挙げていたが、開戦の根拠がまた揺らいだ格好だ。』(ワシントン=3月12日時事通信)

イラク 開戦から5年 1


【3月12日政治ニュース】米国新保守主義(ネオコン)グループ・ブッシュ政権のイラクに対する先制攻撃型集団的自衛権が発動されてこの20日でまる5年になる。
イラク開戦後の当局による検証結果で、米国の先制攻撃の理由は全てCIAと国防省のでっち上げによる間違った戦争であったことが立証され、既に世界の常識になった。また、先日、国防省は、処刑されたフセイン大統領とアルカイダとの関係が皆無だったと公表した。
要するに、全て憶測、捏造、言いがかり、いちゃもんをつけて開戦に踏み切ったことを米国自ら公表したことになる。理由は出尽くしたわけだ。
にも拘らず、米国は理由なきイラク戦争を継続さらに増派している。開戦から5年は、米国の非常識は世界のスタンダードに完全に定着させた、恐るべき時代に変質させた5年だといえる。

いや、もっと恐るべき事態にいまさらながら驚愕することがある。米国の有志連合国のどの国も、明白な間違った戦争と米国自ら告白しているのにこのことの理由で撤退を表明しない。
視点を変えれば、先制攻撃型集団的自衛権にお墨付きを与えるというトンデモナイ歴史の始まりを容認したことになる。この世界的状況で事実と理性の検証は、今後どれだけ世界史に役立つかは到底想像の及ばない、私たちの手の届かない別途範疇になると考えざるを得ない。
しかし、毎日新聞は「混迷イラク:開戦5年に聞く」というタイトルで当時の関係者の取材からイラク戦争の検証を試みている。

『混迷イラク:開戦5年に聞く/2 ジョン・ブラウン元米国務省職員
 ◇政権維持に戦争利用 反米感情高める結果に−−ジョン・ブラウン元米国務省職員(59)

−−イラク攻撃直前の米国務省の空気は?
◆この戦争は素晴らしいという同僚は一人もいなかった。私が戦争に抗議して辞表を出したとき、同僚たちから数百通もの支持の電子メールが送られてきた。

−−なぜ米国は戦争へ突き進んだのですか。
ブッシュ大統領自身、国際的なことにほとんど興味を持たず、知識もなかった。ホワイトハウスの取り巻き連中の関心は常に国内問題だった。つまり、共和党政権をどうやって維持するかが最大の関心事だった。02年11月の中間選挙に勝つために、取り巻きたちは大統領を強い指導者に見せかける必要があった。そのためにイラク危機を利用したのだ。

−−政治家や国民も反対できなかったのは?
◆米同時多発テロ(01年9月11日)後しばらく、米国民は正常な思考ができなかった。「フセイン政権は大量破壊兵器を保有しており、テロリストに渡すかもしれない」と大統領が語ると、反対は難しかった。だが、今では多くの国民が大量破壊兵器保有情報がイラク侵攻の口実に利用されたことを知っている。

−−政権は侵攻後のイラク混乱を予想していなかったのですか。
◆政権幹部はこんな結果になるとは全く予測していなかったはずだ。簡単に考えていたのだ。中東に関する無知ゆえだ。米元外交官のピーター・ガルブレイス氏は著書の中で、ブッシュ大統領がイラクにイスラム教のシーア派とスンニ派の2宗派があることを知らなかったと暴露している。
ブッシュ政権には外交感覚のある人物は見当たらない。父のブッシュ元大統領も国際感覚に疎かったが、ジェームズ・ベーカー元国務長官ら外交に強い人物を要所に配した。今の政権にはそうした人物もいない。

−−外交への影響は?
◆世界中で反米感情を高めてしまった。「米政府が世界戦略としてグローバリズムを使っている」という反発があったところに、イラク戦争によって米国のイメージは決定的に低下した。イラクのアブグレイブ刑務所での収容者虐待や拷問が影響しているだろう。
イラク戦争を遂行する必要上、米政府はウズベキスタンパキスタンなどの独裁政権と手を結んだ。経済やエネルギー分野での近視眼的な利益追求のために外交をするから独裁政権を支援することになる。米国はもっと長期的な広い視野で外交をする必要がある。イラクはそれを教えている。【聞き手・ワシントンで小倉孝保】=つづく
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■人物略歴 ◇ジョン・ブラウン(John Brown)
米ボストン生まれ。プリンストン大大学院で博士号(ロシア史)取得。03年3月10日、イラク戦争に抗議して国務省を退職。辞職文に「なぜ、多大の犠牲を払ってイラクに侵攻する必要があるのか」「侵攻は反米の世紀を作る」と書いた。現在、ジョージタウン大外交研究所上級研究員。』(3月12日毎日新聞)



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